ドラッカーは「企業にとって第一の責任は、存続することである」と言います。しかし同時に、企業の第一の目的は利益をあげることではないと言います。
ドラッカーは「企業の目的は、それぞれの企業の外にある。企業は社会の機関であり、その目的は社会にある。企業の目的の定義は一つしかない。それは顧客の創造である」(※1)と言います。つまり、企業の目的は顧客が必要とする商品やサービスを提供し、既存の顧客を引き留め、新しい顧客を創造し続けることなのです。
管理会計的に言っても、利益をあげるためにまず必要なのは売上です。そして、売上をあげるためには、顧客に選んでもらうという方法しかないのです。
では、顧客が選んでくれる商品やサービスを提供するために、企業には何が必要なのでしょうか。当然ながら顧客を中心にしなければなりません。まずは顧客を知り尽くすというマーケティングの機能が必要になります。しかし、顧客を知り尽くすだけでは充分ではありません。顧客の期待を超える商品やサービスを提供するというイノベーションの機能も必要になります。
このマーケティング機能とイノベーション機能が、企業が持つべき2つの基本機能だとドラッカーは言います。昨今業績をあげているアマゾン・グーグル・アップルといった企業はどこも、顧客に焦点を当て、顧客の期待以上の商品やサービスを提供し続けています。
次に、組織は人が集まって仕事をしますから、経営管理的機能(Administrative function※2)が必要になります。この経営管理的機能の経済的側面を生産性と言います。
経済学では200年以上前から、経済活動には「人」「物」「金」の3つの資源が必要であると言われています(現代では4つ目の資源として、「情報」を加えておくべきかもしれません)。