リニア新幹線・神奈川県駅の近くにオープンした「FUN+TECH LABO(ファンタステックラボ)」リニア新幹線・神奈川県駅の近くにオープンした「FUN+TECH LABO(ファンタステックラボ)」(筆者撮影)

静岡県の川勝平太知事が突然、辞職の意向を表明した。リニア中央新幹線の静岡工区での着工に反対してきた同知事の辞職により、早期開業への期待の声も聞こえる。いずれにせよ、今後工事が進められる中で、気になるのが各県に一つ設置される中間駅の周辺開発だ。これについてJR東海はようやく一つの方向性を提示した。それが3月25日、建設中の神奈川県駅の一角にオープンした「FUN+TECH LABO(ファンタステックラボ)」だ。現地を訪れ、取材した。(鉄道ジャーナリスト 枝久保達也)

繰り返される問題発言で
辞職を迫られた静岡県知事

 静岡情勢は複雑怪奇なり。静岡県の川勝平太知事は4月2日夜、6月の県議会をもって辞職すると表明した。知事は同日の新規採用職員への訓示の中で、県庁の仕事は「毎日野菜を売ったり、牛の世話をしたりするのとは違って、基本的に皆さま方は知性が高い人たち」などと発言。職業差別だと非難が集まる中、釈明会見の最後に突然飛び出した辞職表明だった。

 川勝知事はこれまでも、2019年12月に県議会議員について「ヤクザ、ゴロツキがいる。県の計画に反対する人は県議の資格がない」などと発言。2021年10月の参議院静岡選挙区補欠選挙の応援演説では「御殿場市にはコシヒカリしかない」、同年12月にはかつて学長を務めた静岡文化芸術大学について「11倍の倍率を通ってくる女子学生は、みんなきれい」と発言するなど不適切発言を重ねてきた。

 度重なる問題発言とその後の対応をめぐり、自民党会派は2023年7月の県議会で知事に対する不信任決議案を提出。1票差で否決されたものの、知事は「今後、人さまに迷惑をかけることがあれば辞職する」と表明せざるを得ない状況に追い込まれた。しかし今年3月にも「磐田は浜松より文化水準が高い」と発言するなど姿勢は改まらず、今回の舌禍は自業自得としか言いようがない。

 3日の会見で知事は、辞職の理由を「不十分な言葉遣いによって、人の心に傷をつけたこと」としながらも、本旨は不適切ではないとして、撤回はしなかった。むしろ「一番大きかった理由はリニア」と述べ、JR東海が2027年開業を断念したことで役割を果たしたと述べた。