「労使が折半して負担」の条件で
賃上げに悪影響の可能性も
日本の一世帯あたりの平均所得は545万円ですが、労働者の大半が属する高齢者世帯以外の世帯の場合は665万円です。
子育て支援金の試算によると年収600万円の人の2028年度の負担額が月1000円となっています。
仮に夫婦共働きだとして片方が年収400万円、もう片方が年収200万円で世帯合計が600万円の場合も同じで、ふたり合計で月1000円の徴収になります。
そしてここが一番あやしいところなのですが、その試算は会社員や公務員が入っている健康保険から徴収するとされていて「労使が折半して負担」とも表現されています。
会社員が入る被用者健康保険では給与明細に入っている健康保険料は実は半分の金額で、残り半分は会社が負担しています。
ですから労働者が負担する月1000円とは別に、雇用者も1000円負担するようにも読めるのです。雇用者が1000円負担するといってもそれはもともと人件費の一部ですから、負担が増える分は賃金上昇を抑える方向に力学が働きます。
つまり、制度上は折半して負担でも、実質は労働者が負担することになるのです。
加藤鮎子こども政策相は記者会見で「機械的に計算した数字だ。正確なものではないが、議論の役に立てていただきたい」とおっしゃっているので、今後議論をしていく中で、平均的な所得の世帯の負担額が月1000円なのか、それとも実際は会社があと1000円負担して実質的に月2000円なのかがつまびらかになっていくことと思われます。