ベッドを多数抱える大病院と
診療所とでは診療報酬が違う

 診療報酬の基本は、初診料と再診料である。これはみなさんも病院やクリニックを受診したときに明細書を受け取るので何となく知っているかもしれない。ところがその額が、診療所と200床以上の病院では大きく異なっていることをご存じだろうか。

 初診料は同じであるが、再診のときに大きく差がつく。

 診療所では、再診料=73点、外来管理加算=52点の合計125点が基本になる。これに加え、がん・喘息・高血圧・糖尿病・高脂血症などの特定疾患があると、特定疾患療養管理料の225点が追加される。ところがこの225点は診療所だけが請求できる。つまり、喘息で診療所を再診すると、診療報酬は、73+52+225=350点になる。

 一方、200床以上の病院では、喘息で再診しても74点しか請求できない。1点は10円なので、診療所は3500円、200床以上の病院は740円である(患者負担は6歳から69歳で3割)。

 なぜここまで違うのであろうか。「紹介状なしで大病院を受診すると7000円以上の特別料金がかかるルール」のように、国の考え方は、診断がついて患者の状態が安定したら、地元の診療所で診てもらってほしいと考えているわけである。大病院はあくまでも緊急とか、重症とか、難病とか、診療所で手に負えない患者を診る所であり、あまり患者で混雑すると本来の機能が果たせない。

 そこで、診療所から病院へ、病院で診断・治療、そしてまた病院から診療所へという流れを、こういった診療報酬で作ろうと意図しているのである。別の見方をすると、大病院志向の患者が日本にはたくさんいるということだ。駐車場も混雑しているし、会計もものすごく待たされるし、大病院に好んで通う人の気が知れない。