組織内の各メンバーが担っているタスクや進捗状況を常に可視化し、問題が発生してもすぐに対処できる環境を整えることを、筆者は組織の「見える化」と呼んでいます。そして、お互い本音を言い合えたり指摘し合えたりする関係を作り、問題点や解決策を共有・対処できるようにすることは組織の「言える化」と呼べます。
それはまさに昨今重要視される「心理的安全性」の確保にも繋がる取組といえます。
では具体的にどんなアクションを起こしていけばよいのか、順番に説明していきましょう。
自分が抱いている「前提」が
部下とのコミュニケーションを妨げる
「新人たるもの、毎朝誰よりも早く出社するべきだ」
「自分が若いときは、残業や週末出勤など当たり前だった」
「有休取得後に出社したら、上司や周囲のメンバーにお礼を伝えるものだ」
実は、こうしたあなたが抱いている「前提」が部下とのコミュニケーションを妨げ、仕事の生産性を下げる要因になっているかもしれません。
大前提としてお伝えしたいのですが、筆者の記事を読んでくださるような創業経営者や、組織内で管理職など上席ポジションに就いている方々は、そもそも「自発的に成長できる希少なタイプ」なのです。
皆さん方は、上司や先輩からめったに褒められなくても、それどころか厳しく叱責されても、「なにくそ!」といった精神力で逆境を糧に成長できてしまう、世の中全体を見渡してもレアな方々です。しかし、世の中の多くの人は、誰かに「認められ」「褒められ」「育てて」もらわないことには、成長できません。特に、その傾向はこの十数年間で顕著になっています。
もちろん「認めて褒められたいなら、まずはきちんと一人前に成長してもらわないと」と思われる気持ちもわかります。ただ、多くの人は、「認められる」「褒められる」ことでやる気になり、努力し、成長する……という段階を踏む必要があるのです。
つまり、あなたと部下とではタイプが大きく異なり、あなたは大前提を共有していない人を相手にしていることを念頭に置いてほしいのです。
部下のやる気を保ちつつ、かつ、自分の管理するプロジェクトを遂行してもらう。そのために必要なことは何かを検証していきましょう。
注意する際に大切なのは
「ともに取り組む姿勢」
部下の考えや行動を指摘する際に大切なのは「ともに取り組む姿勢」です。
部下に企画案を出してもらったものの、あまりに考えが浅いのでイラッとしたとき、「なんだよ、この程度の案しか出てこないのか?」などと一喝しても意味がありません。