来客で飲み物を出すとき、「感じのいい人」は何を用意するでしょうか?
それを語るのは、「感じのいい人」に生まれ変われるとっておきのコツを紹介する書籍『気づかいの壁』の著者・川原礼子さんです。職場で困っている人を見かけても、「おせっかいだったらどうしよう…」と躊躇したり、「たぶん大丈夫だろう…!」と自分に言い訳したり……。気づかいをするときには、つい「心の壁」が現れてしまい、なかなか一歩が踏み出せないことが、あなたにもあるのではないでしょうか? この連載では、「顧客ロイヤルティ(お客さまとの信頼関係づくり)」をベースに、ビジネスセミナーへの登壇やコミュニケーションスキルの研修講師を通して、全国200社・2万人以上のビジネスパーソンに向けて教えてきたノウハウを、さらにわかりやすくお伝えします。本稿では、本書には入りきらなかった「気づかいのコツ」について紹介しましょう。
「飲み物」への気づかいとは?
「気づかい」は、日常生活の何げないところで生まれます。
そのほとんどは、相手が気づくか気づかないかの小粒なものです。
でも、その粒が少しずつ砂時計のように貯まっていくにつれて、その人の信頼度があがっていくのだと思います。
ここでは、そんな小粒の「自分がされて嬉しい」気づかいを来客にお出しする飲み物の例でご紹介します。
たかが「水」でも気づかいが出る
今は飲み物を出さない企業も多いですし、出しても「280mlのペットボトル」が主流のようです。
ペットボトルは持ち帰れますし、フタをしておけば倒れても資料を汚すことがありません。
夏場は、冷蔵庫から取り出したばかりのお茶やミネラルウォーターを提供されると、ありがたいものです。
管理も楽ですから、ペットボトルは出す方も出される方も合理的です。
ただ、このペットボトルを冷蔵庫から取り出すのが冬場となると、どうでしょう。
一瞬、手が止まらないでしょうか。
「今年一番の冷え込みです」という予報の日、シニア世代のお客様3人組に、冷蔵庫から取り出したばかりのペットボトルをふるまう場に居合わせたことがあります。
あるサービス業の来店カウンターでした。
お客様は「つめた!」と声を出して、その後は帰るまで手に取ることはありませんでした。
かといってHOT用のボトルを常時用意するのも現実的ではないですよね。
さて、「自分がされて嬉しいこと」を小粒で考えてみましょう。
せめて、「常温のペットボトル」を用意しておくのはいかがでしょうか。
これなら、労力も費用もかかりません。
最近は夏場でも常温を好む人が多くなりました。常時用意しておくと、きっと「感じのいい人」だと思ってくれるでしょう。
いかがでしょうか。小粒でしょう?
この小粒が、相手によっては「慮られた」と映るのです。
気づかいにおいては、「相手の壁」を意識するのがおすすめです。
株式会社シーストーリーズ 代表取締役
元・株式会社リクルートCS推進室教育チームリーダー
高校卒業後、カリフォルニア州College of Marinに留学。その後、米国で永住権を取得し、カリフォルニア州バークレー・コンコードで寿司店の女将を8年経験。
2005年、株式会社リクルート入社。CS推進室でクレーム対応を中心に電話・メール対応、責任者対応を経験後、教育チームリーダーを歴任。年間100回を超える社員研修および取引先向けの研修・セミナー登壇を経験後独立。株式会社シーストーリーズ(C-Stories)を設立し、クチコミとご紹介だけで情報サービス会社・旅行会社などと年間契約を結ぶほか、食品会社・教育サービス会社・IT企業・旅館など、多業種にわたるリピーター企業を中心に“関係性構築”を目的とした顧客コミュニケーション指導およびリーダー・社内トレーナーの育成に従事。コンサルタント・講師として活動中。『気づかいの壁』(ダイヤモンド社)が初の著書となる。