また、韓国人牧師らの支援の下、脱北者家族が中国、ベトナム、ラオス、タイを経由して亡命先の韓国に向かう決死の脱出作戦を追った米ドキュメンタリー「ビヨンド・ユートピア 脱北」は日本でも1月から上映された。コロナ禍で激減した脱北者の韓国入りは昨年、前年比約3倍の196人に増え、 今後も増加傾向が続く可能性がある。
杉原千畝を輩出した日本、
移民の保護で議論のリードを
陸路で接する国のない日本に暮らしていると、命懸けで国境を越えようとする人々のストーリーはどこか遠い国の物語のように聞こえてしまう。しかし、日本は第2次世界大戦中、日本領事館領事代理として赴任していたリトアニアで、ナチス・ドイツに迫害されていた多くのユダヤ人たちに「命のビザ」を発給し、多くのユダヤ人難民を救ったとされる杉原千畝を輩出した歴史がある。
21世紀の今も、たまたま生まれた国で受けた迫害や経済苦から逃れようと命を賭ける人たちが存在する。その現実に目を向け、無辜の子供や女性が犯罪組織の襲撃や事故で命を落とすことのないよう保護していく方策について、また同時にスパイやテロリストの不法入国への当事国の懸念にどう対応するかも含め、日本は責任ある大国として国際社会の議論をリードしていくべきではないだろうか。