2022年1月時点で、日本国内の宇宙産業の規模は、約1.2兆円。うち、人工衛星と、それを打ち上げる「ロケット」などの、宇宙機器分野が3500億円ほど。放送・通信や気象情報など、衛星から送られるデータを使った分野が8000億円前後です。

信頼のH2Aは打ち上げ1回100億円
この高いコストでは世界と勝負できない

 ロケットの開発には、各国の関連する公的機関や企業が乗り出しています。世界で行われたロケットの打ち上げ回数は、21年141回、22年186回と、増加しています。

 仏アリアンスペース、米レラティビティ スペース、中国航天科技集団、インド宇宙研究機関、日本のインターステラテクノロジズ(北海道広尾郡)、スペースワン(東京・港)など、主要各国の政府機関や企業が成果を競っているのです。

 中でも、米スペースXの打ち上げ実績は際立っています。同社は22年に、主力ロケット「ファルコン9」と、その発展型の「ファルコンヘビー」を、合計61回発射しています。

 一方、中国のロケット「長征」も、同年に64回打ち上げられています。

 人工衛星などを宇宙空間まで送る、新型の基幹ロケット「H3」は、これまで使われてきた「H2A」ロケットの後継機。H2Aとその姉妹機「H2B」は、01年の初飛行から23年9月末までの間に、57回中56回の打ち上げに成功するという、高い実績を残しています。しかし、その打ち上げコストは、1回100億円程度。スペースXの基幹ロケット「ファルコン9」の、1回60億円ほどと比較して、高いものになっていました。

 これに対してJAXA(宇宙航空研究開発機構:Japan Aerospace Exploration Agency)が、三菱重工業と組んで開発を続けてきたのが、1回あたりのコストが約50億円というH3、だったのです。

小惑星探査機の開発・運営力では
日本は世界のトップクラス

 日本は、「小惑星探査機」の開発・運営力では、世界のトップクラスを走っています。代表例が、JAXAの「はやぶさ2」。

 H2Aロケットに搭載され、14年に鹿児島県の種子島宇宙センターで打ち上げられ、地球に接近する軌道を持つ「地球近傍小惑星」の「リュウグウ」に着陸しています。