「よくしてくれる店員さん」に
負けない信頼関係を築けるか

 多くの高齢女性は洋服が大好きです。たくさんの服がタンスや押入れのケースに眠っているのに、現在進行形で洋服を買い続けている方がたくさんいます。中には、値札がついたままの、数年前のお買い物品がゴロゴロと出てきたケースもありました。

 そういうモノを目にすると、子世代は反射的に「お母さんまた服買ったの?」「一生分の服がもうあるのに」「捨てないとダメだよ」などと思わずネガティブなコメントをしてしまいたくなるもの。でも、ぐっと我慢してください。

 よくよくお話を聞いてみるとお母様方は、行きつけの服飾店で店員さんと仲良くなっていたりします。「若いのによく話を聞いてくれるの」と仰り、ついお財布のひももゆるくなってしまうのが典型的なパターンのようです。

 自分を丁重に扱ってくれる服飾店の店員さんと、ちょっとした買い物すらガミガミと否定してくる家族。良かれと思っての言動とは言え、後者は圧倒的に部が悪い。居心地の良い店員さんの方に気持ちが逃げてしまい、お店通いもやめられなくなります。

 ついイライラしそうになったときは、このことを思い出してください。

 また、増え過ぎた洋服を減らしていくときには、1着ずつ鏡の前で試着してもらうのが効果的でした。ポイントは、その場に立ち会って、似合っているモノはポジティブな言葉ではっきり伝えること。「いいですね!お顔がパッと華やかになります」「こういう柄や色が合うみたいですね」など。

 そうすると、ネガティブな言葉も受け入れられやすくなるんですね。「先ほどのに比べると、ややくすんだ感じに見えませんか…?」「そうかもしれないわね」というように無理なく手放せるようになります。

 時間はかかりましたが、終わったときのお母様の表情はとても明るく、やってよかったと感じたアプローチです。洋服の取捨選択を通じたコミュニケーションを、お母様ご自身も楽しんでいらしたように思います。

なぜ実家の両親はモノを捨てられないのか?高齢者宅の片づけで重要な3つのポイントこんなにスッキリしました!(ビフォーの写真は冒頭に掲載しています) Photo by sea