1歳未満にハチミツNGの理由を答えられる人は少ない?
「子どもには、少しでも体によいものを食べさせたい!」ですよね。
でも、ごはんは毎日のこと。なるべくシンプルで簡単に済ませたいものです。
この連載では、『医師が教える 子どもの食事 50の基本』の著者で、赤坂ファミリークリニックの院長であり、東京大学医学部附属病院の小児科医でもある伊藤明子先生が、最新の医学データをもとに「子どもが食べるべきもの、避けるべきもの」をご紹介します。
本書の読者からは、
「子を持つ親として、食事の大切さがよくわかった」
「本を読む習慣がない私でも読みやすく、頭に入りやすかった」
「何度も読み返したい本!」

といった声がたくさん届いています。不確かなネット情報ではなく、医学データと膨大な臨床経験によってわかった本当に子どもの体と脳によい食事。毎日の食卓にすぐに取り入れられるヒントが満載です。
今回は知っているようで意外と知らない、1歳未満にハチミツを与えてはいけない理由を解説します。
※食物アレルギーのある方は必ず医師に相談してください。

【小児科医が教える】1歳未満にハチミツが絶対NGの理由、言えますか?Photo: Adobe Stock

どうしてはちみつは1歳以上から?

「カラダによいから」という理由で0歳の赤ちゃんにはちみつを与えていたら、乳児ボツリヌス症で命を落としてしまったという事件がありました。

 腸が未発達な1歳未満の乳児が食べると、腸内で強い毒素が増えてしまうのです。絶対に食べさせないでください。

 一般に、1歳以上になればボツリヌス菌による毒素に打ち勝てる免疫力がつきます。はちみつはカラダによい健康食品ではありますが、1歳をすぎてからにしましょう。

 赤ちゃんは甘い味を好みますが、それは人間の脳の仕組みによるものです。つまり人間の進化のなかで、甘いものを好むことで餓死を免れてきた名残りなのです。

 しかし、食べ物があまり手に入らなかった石器時代と違って、現代の日本ではすぐに甘いお菓子が手に入ります。好むからといって与え続けるのは、残念ながら病気のリスクを上げてしまいます。

 にんじんやさつまいもなど、自然の甘味のある食材を与えましょう。

はちみつに含まれるボツリヌス菌って何?

 ボツリヌス菌は自然界に広く存在しており、低酸素状態で増殖します。野菜やくだもの、肉や魚を汚染し、はちみつにも含まれていることがあります。

 家庭ではちみつを加熱したとしても、ボツリヌス菌は芽胞(がほう)という固い殻の中にいるので殺菌できません