ネット通販でベビーカー用の
スマホホルダーが売れている

 街を見渡してみると、親が危うい使い方をしている場面をよく目にします。実際に公園で見かけたケースでは、1歳くらいの女の子をベビーカーに乗せたお母さんが、歩きスマホで散歩していました。驚くことに、その傍らには同様に歩きスマホするおばあちゃんの姿が。どうやら2人は某キャラクターをゲットするゲームに夢中のようで、大人同士の会話も母子のコミュニケーションもありません。ベビーカーに揺られた女の子は無表情で外の景色を眺めていました。

 懸念すべきは愛着を形成する時期のコミュニケーション不足です。子どもとメディアの適切な関係を提言するNPO法人「子どもとメディア」では、乳幼児期からのメディア漬けを懸念し、1歳半健診や3歳健診に保護者に配布するための啓発資料を作成しています。

 同NPO理事で元公立小校長の豊泉行男氏は「乳幼児期からのメディアとの関わり方が重要」と警鐘を鳴らします。

「今、ネット通販でベビーカーやベビーベッドに取り付けるためのスマホ・タブレットホルダーが飛ぶように売れているんです。私は小中学校でネットリテラシーの講座を開くことが多いですが、大切なのは子どもと一緒に取り組もうという親の姿勢だと感じます。ネット利用はだんだん低年齢化しています。乳幼児の保護者にもっと電子メディア使用についての意識を高く持ってもらいたいです」(豊泉氏)

 過度なネット利用は、どんな影響をもたらすのでしょうか。さまざまな研究が行われていますが、子どもたちを現場で見てきたベテラン臨床心理士の男性は、「ネット漬けの子は見ただけでだいたい分かる」と打ち明けます。それほど顕著な異変が現れるといいます。

「小さい頃からYouTubeやゲーム漬けで育った子は、まず目の動きがおかしいです。視線が自由に動かない、焦点が定まらない、キョロキョロするといった子が多いです。育ちが固まるので言葉も限定された言葉しか出てこない。他者に対して興味を持たない子、コミュニケーション能力の低い子が多いと感じます」