大事なのは「自分ごと」にすること

:「何でもかんでも内製しなきゃいけない」とは言いません。もちろん、外部のベンダーと協力して何かを作り上げていくのは大いにけっこうですが、一番の問題は社内にノウハウが蓄積されないことです。

 知っている人が極端に少ない上に、謎の人事異動があって、まったく違う領域に行ってしまう。そして、ノウハウが残らない状態になる。これが一番もったいないところですよね。

伊藤:加えて、「日本の企業は戦略的じゃない」と言われるじゃないですか。

 先ほどの話につながりますが、「何がしたいか」「目的は何か」「そのためにどうやっていくのか」をストレートに考えていけば、「ICT人材をこうやって活用していこう」となるはずです。

「ICT人材を採用してチームを作れば、会社の重要な戦略になっていくよね」といった議論じゃなくて、「世間はICT人材を活用してるね。DXとか言ってるから、業者さんに頼んでやりますか」と。戦略じゃなくて、「外から降ってくる何かしらのもの」と考えてしまっているところが非常にデカいんですよね。

:そうです。「会社という器を使って、何を成し遂げたいかみんなで考えましょう」というのは、生成AIに限った話ではありません。

 DXもそうだし、「アフターコロナの世界において、事業をどうやって伸ばしていくか」の観点でもそうだし。いろんな観点において、「自分ごと」にしていくのがすごく重要なんですよね。

尾原:そうですよね。「自分ごと」じゃないから、ChatGPTをはじめとした生成AI革命となった時に、対立で考えてしまう。そうすると、AIの進化が「便利な正解をくれるもの」で止まってしまう。「その味を引き出しながら、一緒に何が作れるんだろう?」といった思考法になりにくいですよね。

「ChatGPT、俺的にはイマイチなんだよね」と発言する人の残念な末路
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