「家は待ったほうがいい」は本当なのか徹底検証
仮に現状の家賃が夫婦で15万円。住宅ローンの月々の支払いがおおよそ同等になる5000万円の住宅購入を検討しているとしましょう。仮に1年待って購入を考える場合、その期間に払っている賃料は180万円になります。ということは、180万円を差し引いた4820万円以下で同じ住宅を買えたとすれば、ようやくトントンです。5000万円から180万円、すなわち3・6%(180÷5000)翌年に値下がってようやく、すぐに購入した場合と待った場合が同等になります。
しかし、その分ローン完済が1年遅れるリスクや、健康状態が悪化してローンが組めなくなるリスクも出てきます。待った分得したね、という結果にするためには5%程度以上の値下がりを期待する必要が出てきます。
では、年間5%値下がりする状況というのは過去の日本のなかであったのでしょうか。数字の変化が見えやすい首都圏の中古マンションで見てみましょう。
現在から24年前に遡り、2000年以降の日本の不動産価格が下落した時期は2つあります。1つ目がリーマンショック、2つ目が東日本大震災です。どれくらいの期間でどれくらい下がったかというと
・リーマンショック…6.3%(2008年5月→2009年4月)
・東日本大震災…0.9%(2011年1月→2012年2月)
と、この時期においては、リーマンショックの1年間のみようやく5%の下落となっています。
もちろん、データの切り出し方によっては局地的にそれ以上の下落幅が見られたタイミングもありますが、同等の期間で価格が戻っていることもわかります。
結果としてわかることは、リーマンショックのような世界を巻き込むような大きな出来事で住宅価格が一時的に下落した瞬間を狙う場合のみ、待つのもありであることがわかります(それでも、賃料支払と大きな差は出ません)。
ただ、それ以外であれば早く買ったほうが正解です。これだけの出来事であってもようやく「1年待ってよかった」となるわけで、2年、3年待つとなるとそのあいだに結局不動産価格は戻るか上昇してしまいます。この過去実績がわかっていれば、「値下がりを待っている」と考えることがいかに合理的でない判断を下しているかわかるでしょう。この事実を把握した皆さんは、強い意志を持って住宅購入プロジェクトのリーダーとして、心に灯をともしていってください。