そんなことをすると、「ガミガミ言う」人になってしまう。これは親子の関係でもそうだ。

「叱る」と決断したら、一発で相手の行動を変えるつもりでやろう。

 何度も繰り返す必要があるなら、注意する。「注意」だと「叱る」よりはインパクトが弱い。だが、その分お互いが受けるストレスも少なくて済む。

「月間のKPIは君以外全員がやり切ってるんだから、君も必ずそうするように。いいね?」

 できる限り、ニュートラルフェイス(真顔)で言おう。しかめっ面もダメだが、無理して笑顔を作る必要はない。

 普段笑顔で接していれば、ニュートラルフェイスで注意するだけで、それなりにインパクトを与えることができる。

 上司のその表情を見ただけで、「ちゃんとやり切らないと、マズいな」と部下は受け止めるはずだ。部下の問題行動が明らかになったら、「注意する」をまず選ぶべきだ。

「注意」するときは
ルールの明文化を忘れずに

 ただ「注意する」ためには前提条件がある。それが「ルール」である。「決めごと」「約束」がないと、相手は戸惑うし、「聞いてない」、「そんな話、初めて知った」と受け止める。

 注意するなら、必ず「ルール」や「基準」を明文化しておくのだ

 とはいえ、

「結果を出すための個人ごとの月間KPIを決めた。今後は、必ずやり切るように」

 これだけを伝えても、新たなルールを決めたとは言えないだろう。新しい文化を根づかせるには、情緒的な側面も大事にすべきだ。人は感情の生き物だから、理屈だけでは通じないことも多い。

 新たなルールを作るときはセレモニー(儀式)的なこともやろう。1回でいいのだ。過去と決別するためにも、やったほうがいい。

 できる限り、リアルで全員を集め、こう言うのだ。

「今期の目標を達成させるには、個別に設定したKPIを必ずやり切ってもらう。1人1人と面談を繰り返して設定したKPIだ。中途半端に考えないで、必ず達成するように。よろしく」

 うまいことを言う必要はない。