図表3:年末調整で精算される主なケースとは?AERA 2024年6月10日号より
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「非課税枠を拡充した新NISA(少額投資非課税制度)に定額減税、さらにiDeCo(個人型確定拠出年金)の拠出限度額見直しなど、このところ国民はアメをしゃぶらされ続けています。どこかのタイミングで、増税(ムチ)が待ち受けていることは覚悟すべきかも。国民のフロー(収入)はなかなか増えないので、ストック(保有している金融資産)への課税強化も考えられます」(深野さん)

 実際のところ、反対を押し切って昨年10月から導入されたインボイス制度も、紛れもなく課税強化策である。また、厚生労働省は医療・介護保険の保険料算定に、勤労所得水準だけでなく、金融所得も反映させることを検討し始めている。

 こちらも国民負担増に結びつくものであるし、先送りされた防衛増税にしても、いずれは実施されることになるはずだ。先々のことも見据えると、今回の減税は手放しで喜べるものではない。

 なお、最後に余談だが、定額減税によって、ふるさと納税の控除額上限を計算する際に用いる「所得割額」が減ってしまうことを危惧している人が少なくない。だが、控除額上限は定額減税実施前の「所得割額」で計算されるため、ふるさと納税への影響はないのでご安心を!

(金融ジャーナリスト・大西洋平)

AERA 2024年6月10日号

大西洋平
出版社勤務などを経て1995年に独立し、フリーのジャーナリストとして「AERA」「週刊ダイヤモンド」、「プレジデント」、などの一般雑誌で執筆中。識者・著名人や上場企業トップのインタビューも多数手掛け、金融・経済からエレクトロニクス、メカトロニクス、IT、エンタメ、再生可能エネルギー、さらには介護まで、幅広い領域で取材活動を行っている。

AERA dot.より転載