英語を話せるようになりたいけれど、効果的な学習法が見つからない。そんな多くの英語学習者から絶賛の声を集める本が『話す力が身につく5分間英単語』だ。カジュアルな会話からフォーマルな表現まで、数千に及ぶ例文を音声とともに掲載。実践的なスピーキング力やリスニング力を向上させることができる。著者は、英字新聞編集長を10年以上務める高橋敏之氏。一般的な英単語集には記載されていない「ニュアンス」や「実際の使われ方」まで丁寧に解説した。本稿では本書から特別に一部を抜粋して紹介する。
overseeとoverlookの意味の違い
どちらもoverの後に「見る」という意味のsee、lookがくっついてできた動詞だが、意味が異なるので注意しよう。
・oversee:「(プロジェクト・予算・部下など)を監督する、管理する、統括する」という意味の語。oversee-oversaw-overseenと活用する。
・overlook:「~を見落とす」または「(ミスなど)を大目に見る、見逃してやる」という意味の語。「(場所が)~を見渡す」という意味もある。
seeとlookのニュアンスの違いからアプローチ
なぜ、こうした意味の違いが生じるのか。これはseeとlookの違いからアプローチすると頭に入りやすいだろう。
seeは、見るは見るでも「目に入ってくる」という意味を表す。
一方、lookは「そちらに目を向ける」という意味で、必ずしも「何かが目に入る、それを目で捉える」という意味を表すわけではない。
次の例文ではそれが端的に表れている。
Look at this picture. See a blonde woman in the front row?
この写真を見てくれ。最前列にいるブロンドの女性が見えるか?
つまりoverseeは「上から(=over)何かを目に入れる」から「監督する、管理する」。
overlookは「(物事の)うわべ[上っ面]だけに目を向ける」から「~を見落とす、(見落としが意図的なものであれば)見逃してやる」という意味になると考えておこう。
以上は正式な「語源」というわけではないが、このように捉えておくと両者の違いがイメージしやすいと思う。
overseeの例文
Mr. Watanabe will oversee the whole project.
ワタナベ氏がプロジェクト全体を統括する
His job involves overseeing a group of managers.
彼の仕事にはマネージャー達の監督が含まれている
She is responsible for overseeing a budget of 50 million yen.
彼女は5千万円の予算を管理する責任者だ
The National Park Service oversees all national parks in the U.S.
国立公園局は米国内の全ての国立公園を管轄している
◆「(組織などが)~を管轄する」という意味でも用いる
The main duty of the committee is to oversee the election process.
その委員会の主な役目は、選挙の過程を監視することだ
◆「~を監視する」というニュアンスが出ることもある
overlookの例文
I think we’re overlooking something.
私たちは何かを見落としているようだ
The detective seems to have overlooked an important clue.
その探偵は、重要な手掛かりを見落としたようだ
We can easily overlook warning signals about our own health.
私達は健康への警告信号を簡単に見落としてしまいがちだ
When two people are in love, they tend to overlook each other’s faults.
2人が愛し合っていると、お互いの欠点を大目に見ることが多い
◆「大目に見る」の意味では、後ろに「ミス」「欠点」「不正・違反」などを表す語を続けることが多い
That kind of behavior shouldn’t be overlooked.
そのような行為は見逃されるべきではない
Our room overlooked the Mediterranean Sea.
部屋から地中海が見渡せた
(本稿は『5分間英単語』から抜粋・編集したものです。)