「身体能力を向上させるために必要なのは『トレーニング』『リカバリー』『栄養』の3つのメソッドです」と語るのは、大坂なおみや錦織圭ら数々の選手を世界トップレベルに導いたフィジカル・トレーナー中村豊。この3つを適切に行えば、誰もが身心を健全に整えられるとして実践方法をまとめたのが『世界最高のフィジカル・マネジメント』です。本連載では同書からさまざまなメソッドを紹介していきます。
今回ご紹介するのは、お金もかからず、自宅でできて、短時間で行えるとっておきの心身リフレッシュ法「メディテーション(瞑想)」について。
1日たった1分で心と身体を整える方法
身心を整えるのに、どこでも簡単に行える方法として「メディテーション(瞑想)」はとてもお勧めです。
1日1分でかまわないので、メディテーションの時間を作ってみてください。
やり方は簡単です。静かな場所にリラックスして座り、目を閉じてゆっくりと呼吸します。できればいつも同じ場所、同じ時間に行うと精神的な落ち着きを得られます。
メディテーションを始めた当初は、頭の中に様々な雑念が浮かんでくるはずです。そこで、呼吸に意識を集中させるのです。
鼻呼吸がお勧めで、7秒吸って2秒止める、あるいは2秒吸って4秒吐く、などのリズムを作ることです。鼻呼吸は吸い込む空気に適度な温度、湿度を与え、空気中の微細なゴミや細菌を鼻腔内でカットしてくれます。また、鼻の奥は脳の底部と接しているため、脳の過熱を防ぐ役割もあります。
スマホやテレビをシャットアウトして
脳を完全に休ませる時間を作る
メディテーションを続けるうちに、次第に「無」の状態を長くキープできるようになるはずです。無の状態が一瞬でも体験できれば成功です。まずは習慣化することが大事です。毎日繰り返すことで、驚くほどメンタルケアに効果があります。ルーティンの確立が人間の精神を安定させるのです。
実際に僕自身も毎朝決まった時間に読経することで、メディテーションを行っています。
メディテーションに限らず、人間には頭を空にする時間が必要です。1日の中に必ずスマートフォンやテレビ等の情報を入れない完全にオフの時間を作ってください。
あなたの疲れた心や身体は必ずリフレッシュされるはずです。
(本原稿は中村豊『世界最高のフィジカル・マネジメント』から一部を抜粋・編集して掲載しています)
ストレングス&コンディショニングコーチ
1972年生まれ。高校卒業後アメリカにテニス留学。スポーツトレーナーという職業に興味を持ち、カリフォルニア州チャップマン大学で運動生理学、スポーツサイエンスを学ぶ。1998年、サドルブルック・テニスアカデミーのトレーニングコーチに就任。2000年、女子テニスプレーヤー、ジェニファー・カプリアティのトレーナーに就任し、翌年世界No.1に導く。2004年よりIMGアカデミーに所属し、錦織圭のトレーニングを14歳から20歳まで受け持つ。2011年よりマリア・シャラポワの専属トレーナーに就任。シャラポワの黄金期を7年間支える。2020年6月、大坂なおみの専属トレーナーに就任。わずか2ヵ月でスランプに陥っていた大坂を再生させ、全米、全豪と立て続けのメジャータイトル奪取に貢献。世界のプロスポーツ界で最も注目されるフィジカルトレーナーのひとり。トレーナーとしての豊富な経験と知識を生かし、一般の人に向けた入門書『世界最高のフィジカル・マネジメント』を上梓した。