回答のポイント:高級レストランの特徴を意識する
高級レストランを具体的にイメージし、その特徴を踏まえて推定方法を検討しましょう。
以下が解答例です。
推定対象の解像度を上げる
私は、次のような高級レストランを想像し、推定する1日の売上は「ある休日におけるランチ、ディナーの売上の合計」とします。
【下記のようなレストランを想定】
・座席数は100席(4人掛けテーブルで換算すると25卓)
・ディナーは1万円のコース料理と1杯2,000円のドリンクを扱う
・来店客は1組3時間程度、食事を楽しんでいる
・ランチ時間帯はコースの単価が低く、1組あたりの滞在時間も短い
推定方法を具体化する
まず、売上を「客数×客単価」に分解し、客数と客単価はそれぞれどのような要素に分けられるか考えます。
売上=客数×客単価
レストランの客数は、ある時間にどの程度の数の客が食事をしているか、またその来店客は何時間で入れ替わるかの感覚をもとに求められそうです。
そこで客数を「席数×埋まっている席の割合×営業時間÷1回の食事にかかる時間」に分解します。
客数=席数×埋まっている席の割合×営業時間÷1回の食事にかかる時間
また、レストランの客単価は、「コース料理の平均客単価+ドリンクの平均客単価」で求められます。
客単価=コース料理の平均客単価+ドリンクの平均客単価
したがって高級レストランの売上は以下の式から推定できると考えます。
高級レストランの売上
=客数×客単価
=(席数×埋まっている席の割合×営業時間÷1回の食事にかかる時間)×(コース料理の平均客単価+ドリンクの平均客単価)
ランチとディナーで場合分けをして、数値を設定する
私は、ランチとディナーで1回の食事にかかる時間や客単価が異なると考え、以下のように場合分けをして数値を設定しました。

ランチでは、営業時間11:00-15:00の4時間で、席は60%埋まっており、単価6,000円のコースを2時間制で提供(2回転)し、2,000円のドリンクが2杯注文されるとします(ドリンクを注文しない客もいると想定)。
ディナーでは、営業時間17:00-23:00の6時間で、席は80%埋まっており、ランチより高い単価10,000円のコースを3時間制で提供(2回転)し、2,000円のドリンクが5杯注文されるとします(高級ワインなどをボトルで注文するような客もいると想定)。
ランチとディナーの売上を求め、1日の売上を推定する
仮定した数字を計算式に代入すると、ランチ、ディナーそれぞれの時間帯の客数・客単価は次の表のようになります。

以上より、高級レストランの休日の1日の売上は440万円と推定できました。ありがとうございました。
面接官からの質問

――今回はある休日の売上について推定いただきましたが、平日の売上を推定する場合にはどのような点が変わってくると思いますか?
主に「埋まっている席の割合」、すなわち、稼働率が大きく変わると思います。
店舗次第ですが、一般的には平日は休日ほどの稼働率を見込めないのではないでしょうか。
特にランチにおいては仕事があるビジネスパーソンの利用は想定しづらく、休日の稼働率を大きく下回ると考えます。
――今回の推定をより精度高く修正するならば、どのあたりに手を付けたいと思いますか?
「営業時間÷1回の食事にかかる時間」で計算した来店客の回転数に手を付けたいです。
実際に食事を開始するタイミングはお客さまが決めるため、全てのテーブルがランチもディナーも2回転するとは限りません。
したがって、一定数のテーブルは2回転しないことを加味できれば、より現実に近い値になると考えます。
――今回の推定を踏まえて、このレストランの売上を向上させるにはどのような施策が考えられますか?
客数を増やすか、客単価を上げるかのいずれかや双方の可能性を検討することになります。
今回の推定ではランチタイムの稼働率を60%と設定していたので、それをいかに改善するかという客数増加への打ち手を検討できるとよいと思います。
たとえば、常連のお客さまに対して、「友人や知人をご紹介していただくとシャンパンを1杯サービス」などの紹介特典を提示し、新規のお客さまを開拓するという施策はいかがでしょうか。
(本稿は『問題解決力を高める 外資系コンサルの入社試験』から一部を抜粋・編集したものです)