今、就活市場で人気が高いコンサル業界には「ケース面接」と呼ばれる独特の入社試験がある。志望者の問題解決力や地頭力を測る試験だ。新刊『問題解決力を高める 外資系コンサルの入社試験』は、大手コンサルティングファームの入社試験に対して、現役コンサルタントや内定者の解答を集約した前代未聞の1冊だ。本稿では「コンサル流のロジックツリーの使い方」について、本書から一部を抜粋・編集して紹介する。

洞察が深い人の「情報を短時間で簡単に整理する1つの方法」Photo: Adobe Stock

3種のロジックツリーを使って素早く情報を整理する

 ケース面接の選考を突破できる人はロジックツリーを活用し、自身の思考や面接官との議論内容を整理し、それを基にさらに自身の思考を広げたり、深めたりしています。

 ロジックツリーは、個々の情報の関係性を視覚的に整理する「構造化」を行うための有効なツールです。

 使いこなすことができれば、ケース面接問題を突破する強力な武器となります。ここで理解を深めておきましょう。

 ロジックツリーは次の3つの種類があります。

Whatツリー(要素分解のロジックツリー)

 1つ目は、物事全体を個々の要素に分解して、物事の構造を捉える「Whatツリー(要素分解のロジックツリー)」です。

 物事全体に対して「それは何で構成されるのか?」と、Whatを繰り返しながら作成していきます。

 問題解決の初期における現状分析において、たとえば、経営環境の変化についてPESTLE分析のような切り口で分解したり、売上高を地域別や拠点別、客数×客単価などと分解したりすることが挙げられます。

Whyツリー(原因究明のロジックツリー)

 2つ目は、ある問題がどのような原因によって引き起こされたかを深掘りしていく「Whyツリー(原因究明のロジックツリー)」です。

 ある問題に対して「なぜ、そうなったのか?」と、Whyを繰り返しながら作成していきます。

 こうすることで表出している問題の根本原因、すなわち、解決すべき本質的な課題を見出すことができます。

Howツリー(対策立案のロジックツリー)

 3つ目は、ある目的に対して、それを達成する手段を具体化していく「Howツリー(対策立案のロジックツリー)」です。

 本質的な課題について、「いかに解決するか?」とHowを繰り返しながら作成していきます。

 最初は大まかな打ち手の方向性を洗い出し、次第に具体的なアクションへと打ち手の詳細を詰めることになります。

洞察が深い人の「情報を短時間で簡単に整理する1つの方法」

 ケース面接問題では、まず問題を要素分解して理解を深め、問題の背景にある原因を究明し、本質的な課題に対する打ち手を具体化していきます。

 その際に、これら3種のロジックツリーが武器になるでしょう。

「アイデアを発散する」→「ロジックツリーにまとめる」→「さらに広げ深める」

 ロジックツリーによる構造化は、単なる情報整理に留まりません。

 まずは、ロジックツリーを作ることは意識せずに、自分のアイデアを洗い出してみます。

 そして、それを情報の粒度やMECE(モレやダブりがないか)を意識しながらロジックツリーにまとめます。

 情報の粒度を整える際には、「アイデアAとアイデアBは、要するに○○に関連することだな」などと、個々のアイデアを分類してみるとよいでしょう。

 実際のところ、選考突破者であっても、この自分の発言や現状の思考を整理した段階でロジックツリーの活用を終えてしまう方がいます。

 しかし、面接官としては少し物足りない気持ちになります。

 なぜなら、それはただ思いつきのアイデアを整理しただけであり、より良い仮説を導くために必要な視点が抜け落ちているかもしれないからです。

洞察が深い人の「情報を短時間で簡単に整理する1つの方法」

 ロジックツリーにまとめたら、「他に抜けている視点(全体を構成する他の要素、問題の背景にある他の原因、課題を解決する他の打ち手など)はないか?」と思考を広げたり、「より具体的に深掘りすること(物事や原因、打ち手の詳細化など)はできないか?」と思考を深めたりすることを忘れないようにしましょう。

 1人で考えすぎずに、面接官とディスカッションしながら進めていきましょう。

 大事なのは、自分の思考には穴があることを自覚すること。面接官に現時点のロジックツリーを共有しながら、より質の高い問題解決を実現してください。

(本稿は『問題解決力を高める 外資系コンサルの入社試験』から一部を抜粋・編集したものです)