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「人生は山あり谷あり」という言葉があるが、人生の折り返し地点を迎えた時、“谷”を恐れて現状維持に徹するのは、果たして得策と言えるだろうか?リクルートの初代フェローの人生曲線(エネルギーカーブ)を例に、リスクを取ってリターンを得る意義を学ぼう。本稿は、藤原和博『どう生きる?――人生戦略としての「場所取り」の教科書』(祥伝社)の一部を抜粋・編集したものです。

リスクに挑めばリターンが得られる
入射角・反射角の法則

 私のライブ講演会では時々、参加者に図を描いてもらうことがあります。

 それが「人生のエネルギーカーブ」です。

 みなさんもこれまで人生を生きてきて、さまざまな紆余曲折があったでしょう。

 いい思い出、あまり思い出したくない体験、人生の転機になった出来事などなど。その時々で、みなさんの“人生のエネルギー”は上がったり、下がったりしたと思います。それを図にするのです。

 横軸は人生の歩み(ライフサイクル)、縦軸はエネルギーレベルを示します。左下を0歳、すなわちスタートとすると、みなさんは、どのような曲線を描くでしょうか。

図1:藤原和博のエネルギーカーブ同書より 拡大画像表示

 図1は、私の人生のエネルギーカーブです。小学校で盛り上がり、高校で盛り上がり、リクルート入社で盛り上がり、和田中学校の校長就任で盛り上がっています。

 いっぽうで、「谷」もあります。

 中学校でドーンと下がり、大学でどん底の五月病を味わいます。就職して一転、上昇カーブを描いたと思ったら、30歳でメニエール病を発症しました。出世するわ、年収は上がるわ、部下は300人に増えるわ、と順風満帆に階段を上っていたら、いきなり目が回ってダウンしたわけです。

 よく見ると、人生のエネルギーカーブが上昇する前には、必ず谷があることがわかります。マイナスはのちに反転して、プラスに作用しています。もっと言えば、直前の谷が深いほど山は高くなる。

 私はこれを「入射角・反射角の法則」と呼んでいます。

 入射角の角度が急であればあるほど、反射角の角度も急になる。思い切り沈んだあとは、思い切り跳ね返ってリターンが得られるのです。

 ですから、大きなリターンを得たければ大きなリスクに挑みましょう。

 たとえば、ベンチャー企業に入社するのはリスクですが、猛烈に働く機会を得られ、大きく成長できるかもしれない。上場しストックオプションを得られれば、大きな財産を築けるかもしれない。

 私のこれまでの人生を振り返ると、何度も辛い目にも遭いましたが、いい思いもたくさんしました。いや、遠慮なく言えば、とびきりのいい思い出でした。

 マイナス(谷)を恐れていたら、プラス(山)もありません。