著名人を実例に説明しましょう。

「ライブドア事件」乗り越えた
堀江貴文の成功例

 まずはホリエモンこと堀江貴文さんです。断っておきますが、あくまで私の見立てです。

 彼の「キャリアの大三角形」の底辺となるのはITと投資でしょう。ITで起業して、自身の会社ライブドアを上場させ、投資家としても相当な技術を磨いていきました。

 ここで、起こったのが「ライブドア事件」(2009年)です。「谷」が到来したわけです。しかし、彼はこれをきっかけに拘置所で哲学するのです。たくさんの本を読んだと聞きました。その結晶が著書『ゼロ』(ダイヤモンド社)で、大ベストセラーになりました。

 これが大きなジャンプになって(山になって)、コメンテーターや評論家としての道も開けていった。大きな三角形を築くことができたわけです。

 この大三角形の上に、「高さ」を持たせて三角錐を築こうとしているのが、「宇宙へ」というミッションです。液体燃料ロケット開発を行うインターステラテクノロジズを立ち上げると、ロケットを打ち上げ続けています。

 また、最高級和牛を扱うWAGYUMAFIAを設立し、日本の「食」のすばらしさを世界に発信しています。

 三角錐を作る時に大事なことは「どこで儲け、どこに投資するか」です。

 すべてのポイントで「儲けるぞ」という人は成功しない確率が高い。その理由は明快で、「儲け」だけに固執する人はみんなが応援しないので、エネルギーが入ってこないからです。

 堀江さんは投資家としても稼いでいるようですが、それを貯め込むのではなく、ロケット事業に注ぎ込んでいます。民間企業でも宇宙に行ける。そんな大きな夢を描くから、多くの人に支持されるのでしょう。

 率直に言って、現段階ではロケット事業は儲かっていそうにありませんよね。あるいは、損してでも、宇宙への夢を追いかけるつもりなのかもしれません。

 宇宙ビジネスを推進しているのは、イーロン・マスク(テスラ会長/スペースX創業者)、ジェフ・ベゾス(アマゾン創業者)、リチャード・ブランソン(ヴァージン・グループ創業者)など世界的起業家ばかりで、日本で目立つのは堀江さんぐらいです。だから、堀江さんのところに、宇宙に関する最先端の情報が集まってきます。

 もともとオンリーワンであるうえに、さらに希少性を高めているわけです。