共感の渦を巻き起こした
キングコング西野亮廣のエンタメ

 次に、キングコングの西野亮廣さんを見てみましょう。

 西野さんはお笑い芸人として、キャリアをスタートさせました。やがて突出するわけですが、そこに絵本作家というキャリアが加わり、「キャリアの大三角形」の底辺を固めます。

 芸人としてなかなか伸びなくて悩んでいた時、タモリさんから「おまえ、絵を描け」とアドバイスをもらい、0.03mmの黒ボールペンで細密画を描いてみたそうです。私の好きな初期の作品『Dr.インクの星空キネマ』や『オルゴールワールド』(共に幻冬舎)などは、1ページに1カ月かけていたそうです。いかに芸術性が高いかがわかります。

 さらに彼は、オンラインサロン「西野亮廣エンタメ研究所」を始めます。会員数は2024年3月時点で3万5000人超と、日本一です。

 自分にエネルギーが入ってくる装置を作ったわけですね。

 この装置を作ったことで、その後の展開ができていきました。絵本が映画化され、さまざまな著名人とのコラボレーションが成立します。

 そして、三角錐の「高さ」を作るべく、彼が宣言したのが「ディズニーを超える」です。こんな無謀なことは普通、誰も言いません。

 しかし、だからこそ、みんなが応援するし、世界で戦える日本発のエンターテインメントに共感するわけです。

 彼は絵本にしても、映画にしても、その資金はクラウドファンディングで調達しています。彼の希少性と大きな夢に、多くの人が惹きつけられるわけです。

 よく「お金がないからできない」と言う人がいますが、今や、お金は金融機関で借りるだけではありません。きちんと「キャリアの大三角形」を作り、希少性を獲得すれば、お金もついてくるのです。