老害にならないためのコツ、「家族の壁」を解消に向かわせる3つのポイント

 状況を改善させるためにAさんのご主人が意識したほうがいいこと、自覚すべきことは、おもに3つあります。

 まずは、自分が愛情表現だと思っている言動や行動が、相手(この場合は奥さん)もそのように受け取ってくれるとは限らないということ。

 悪態をつくことが愛情表現。これは万人共通の感覚ではありません。厳しいことを言われて、嫌悪感を抱いたり、気分が滅入ったり、ストレスに感じてしまったり――そんな人は大勢います。「家族ならOK」は通用しないのです。

 まさに、親しきなかにも礼儀あり。愛情があるのなら、相手のことも理解するように努めましょう。「なんでわかってくれないの?」ではなく、「こうすればわかってくれるかな」が大切なのです。

 続いては、ライフスタイルの変化によって、夫婦の接触頻度が大きく増えたということ。どんなに仲のよい家族でも、いっさいストレスを感じずに一緒に生活することは不可能です。
 
 接触頻度が増えると、楽しいことを多く経験できるかもしれない一方、ストレスを増加させるケースもあるでしょう。

 とくに一般的な高齢夫婦の場合は、夫の定年退職後に接触頻度が激増します。それまでと同じように接していても、相手の反応が変わってくるというのはよくあることなのです。

 Aさんのご主人のタイプのような人は、それを忘れないようにしたいですね。

 そして最後に、年をとると人間の味覚は変わってくるということ。
 
 濃いめの味付けを好むようになるのは前述したとおりで、これは若いころよりも塩味を感じにくくなることが大きく影響しています(※3)。この事実を知っているだけで、料理に対する評価も、作ってくれた人への態度も、だいぶ寛大になるのではないでしょうか。

 熟年離婚という最悪の結末を迎えないためにも、ここでお伝えした3つのポイントをつねに念頭に置いておくことが重要になります。