クレディセゾンは、2024年4月から新たな中期経営計画をスタートさせた。最終年の26年度末に、クレジットカード関連の事業である「ペイメント」や、スルガ銀行との事業提携などで力を入れる「ファイナンス」、インドなどで展開する「グローバル」など主要6事業で事業利益1000億円を目指す。その中身について、水野克己社長に話を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部副編集長 片田江康男)
ポイント還元競争には参戦せず
富裕層・中小企業オーナーに照準
――「ペイメント」(クレジットカード事業)は、ショッピング取扱残高を右肩上がりで伸ばす計画を立てています。楽天カードや三井住友カードなど、激しい競争が繰り広げられている市場ですが、どのように収益を伸ばしていくのでしょうか。
ペイメントは、ショッピング取扱高が23年度末5兆6800億円となり、21年度比で17.8%増加しました。中期経営計画最終年度の26年度末に、7兆円まで伸ばす計画です。
実はここ10年、システムや過払い金への対応が必要で、なかなか攻めの方向へかじを切ることができませんでした。さらに、新型コロナウイルス感染症の影響も大きかった。
1人当たりの生産性を上げる取り組みと、デジタルトランスフォーメーション(DX)を進めてきたことで、稼ぐ力がついてきました。26年度末までに、収益性をもう一段引き上げられる手応えを感じています。
――楽天カードは、ポイント還元も積極的です。三井住友フィナンシャルグループは、傘下の三井住友カードが中心となって「Olive」(オリーブ)の会員獲得を進めています。
競合他社はマスを取りにいく中で、ポイント還元競争を繰り広げていますが、われわれは参戦しない方針です。高単価・高稼働の富裕層と、個人事業主やSME(中小企業)を重点ターゲットにして、収益性を高めていきます。
ポイント還元によって会員を獲得し、囲い込む手法が定番となっているクレジットカード業界。その路線と一線を画すクレディセゾンは、どのような戦略を描いているのか。また、クレディセゾンは地方銀行のスルガ銀行と2023年5月、資本業務提携を締結した。ノンバンクと地銀の組み合わせの成否に、クレジットカードと地銀業界の注目が集まっている。次ページでは中計の中身について、さらに話を聞いた。