その結果、動物実験のうち、臨床試験へと進んだのは50%、RCTへと進んだのは40%、規制当局により承認されたのはわずか5%であることが明らかになった。

 それにもかかわらず、動物実験で得られた良好な結果の86%は臨床試験でも再現されていた。治療法が、臨床試験、RCT、承認に至るまでにかかった期間(平均)は同順で、5年、7年、10年であった。

 研究グループは、「臨床神経学の分野でいうと、メラトニンや間葉系幹細胞を用いた治療法のように、動物実験や初期臨床試験で有望視され、脳卒中に対する有効な候補として報告されている治療法の多くは、まだ標準的な治療法にはなっていない」と説明する。

動物実験のデザインが不十分で
一貫性がない

 また、「アルツハイマー病や脊髄損傷のような他の神経疾患でも同様のパターンが認められ、いくつかの治療法は前臨床試験で有望な結果が得られたものの、実用化には至っていない」と付け加えている。

 研究グループは、このような結果の背景には、臨床試験と規制当局の承認要件が厳しすぎるために、「潜在的に価値のある多くの治療法が置き去りにされている可能性がある」と推測している。

 さらに、「より重要なのは、動物実験やヒトを対象とした臨床試験のデザインが不十分で一貫性がないため、信頼性の低い知見しか得られていない可能性がある点だ。それが原因で、これらの潜在的治療法は臨床試験に進めないのだ」との見方を示す。

 その上で、「動物実験からヒトを対象にした試験への移行率を改善するために、動物およびヒトにおける研究デザインの頑健性を高めるべきだ」と主張している。(HealthDay News 2024年6月14日)

https://www.healthday.com/health-news/general-health/just-1-in-20-animal-studies-yield-treatments-that-make-it-to-humans

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