災害現場で活躍する「災害救助犬」。日本や海外で災害が起こった時、メディアでその活躍する姿を見かけることも多い。災害救助犬になる犬は、どんな犬なのか。普段はどんな訓練をしているのか。能登半島地震の現場でも活動した災害救助犬コアとハンドラー(指導手)を取材し、災害時に果たしている役割と日常生活を追った。(取材・文/村田幸音)
民間ボランティアが多く参加
認定試験に合格して、災害救助犬に
災害救助犬とは、地震や台風、遭難などで行方不明になっている人たちを、優れた嗅覚を使って捜索する特別な訓練をした犬のことだ。
日本では、自衛隊や警察に所属する救助犬の数はまだ少ない。そのため、現場へ向かう災害救助犬の多くが、消防や県警から要請を受けたNPO団体や個人で活動する民間ボランティアだ。
行方不明者の捜索活動を行う警察犬との違いは、警察犬が特定の人間の臭いを嗅ぎ分けて行方を追うのに対し、災害救助犬は浮遊臭(空気中に漂う臭い)で行方不明者を捜索する。つまり同じ捜索活動でも、実際に犬が行っている行動は警察犬と災害救助犬では基本的に異なるというわけだ。
NPO団体や個人の民間ボランティアで活動する災害救助犬は、普段は一般の家庭犬として過ごしている犬も少なくない。試験に合格することで、災害救助犬として認定される。
現在、日本では複数の団体が試験を実施しており、それぞれで災害救助犬の認定を行っている。世界で最も広く採用されているのは、世界最大の救助犬国際ボランティア組織である国際救助犬連盟 IRO(Internationale Rettungshunde Organisation)が定めた試験で、これが国際基準のルールといわれ、日本でも採用している団体は多い。