ニュースな本写真はイメージです Photo:PIXTA

今年も税務調査の本格シーズンが到来した。餅は餅屋ならば税務調査への立会いは顧問税理士に依頼するところだが、長年企業の会計監査に携わり、自らも弁護士として税務調査の最前線に立つ眞鍋淳也氏は「弁護士の交渉術は税務調査で企業の大きな強みになる」と自信を持って語る。弁護士が税務調査に立ち会うことの具体的なメリットとは?※本稿は、眞鍋淳也『税務調査は弁護士に相談しなさい』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を抜粋・編集したものです。

どのような弁護士が
税理士業務を行うことができるのか?

 私たち弁護士は税務についての専門的な知識を問う試験、いわゆる税理士試験を受験、合格しているというわけではありません。

 それでも、一定の条件を満たせば弁護士は税理士業務を行うことができて、税務調査に立ち会うことができることになっています。では、いったいどのような弁護士が税理士業務を行うことができるのでしょうか。

 私たち弁護士が税理士業務を行うための方法には2通りあります。1つは入会金を払って近隣の税理士会に登録をするというものです。

 この方法では、毎月、税理士会へ会費を納める必要がありますが、「税理士」という肩書きを公に堂々と掲げることができます。税理士会に登録することによって、実際に税務に関する知識を得られるわけではありませんが、「弁護士」という肩書きとは別に、正々堂々と「税理士」を名乗ることができると定められているのです。このことは多分に営業面でプラスの効果をもたらします。税理士会との縁により、本業である弁護士としての仕事を紹介してもらえる他、対外的にも「税理士業務ができる弁護士」というのは税務調査でのトラブルにおける相談相手として、信頼度が高まると言えるでしょう。

 ただし、あくまで肩書きとして「税理士」を掲げられるというだけですので、実際には税務や会計処理について詳しいのか、というとそういうわけではありません。したがって、税務調査に立ち会ってもらったところで、適当な対応ができないことも少なくない、ということは、依頼者として覚えておく必要があるでしょう。

「税理士」の肩書きを掲げる
実務知識のない弁護士も存在する

 もう1つ、弁護士が税理士業務を行うことができる方法として、各地の国税局長に通知するというものがあります。

 この方法では、あくまで弁護士会を通じて国税局長に「通知」をするだけでよく、国税局長からの「許可」は必要ありません。また税理士会への入会が義務付けられているわけではありませんので、入会金や会費などがかからないというメリットもあります。

 こちらの方法では、公に「税理士」を名乗ることはできません。この場合の正式な肩書きは「通知弁護士」あるいは「通知税理士」である点も、税理士会に登録した場合とは異なります。