国内外のリターンの差は
株価上昇率の差
多くの人が、NISAによる海外投資が、円安の要因と指摘している。日本経済新聞(6月17日)によれば「1~5月の国内の投資信託運用会社などによる海外投資は5.6兆円超の買い越しとなり、2023年通年の4.5兆円を早くも上回った」という。
このペースが続けば、24年通年では13兆円の買い越しになり、23年より8.5兆円の資本流出となる。
同記事では、その背景について、下記のように報じられている。
「背景にあるのが24年1月に始まった新NISAだ。非課税の期間制限をなくして恒久化し、非課税枠も最大1800万円に引き上げた」。
これによって資本流出が増加したのだ。
また「新NISAで最も買われている投信は三菱UFJアセットマネジメントの全世界株式型投信、全世界株式(オール・カントリー)」(オルカン)だ。投資先の6割が米国株で、1~5月の資金流入額は1兆1448億円と前年同期比で約5.7倍に膨らんだ」という。
日本の経常収支は23年で21.4兆円だから、NISAの13兆円の資本流出は円レートに大きな影響を与えるだろう。
NISAで海外投資をしている人は、日本で投資するより海外で投資した方がリターンが高いと考えるから、オルカンなどの投資をしているのだろう。この時のリターンとは、株価の上昇率である。日本より海外のほうが上昇率が高いから、海外に投資をするのだ。もちろん、将来のことは分からないが、過去においては、日本より海外の株に投資したほうが、上昇率は高かった。
また、日本の株が下がってもどこかの国の株が上がっている可能性があるので、オルカンはリスク分散投資になる。すべての国の株が下がっていたら諦めろと言うことになるが。
ここで金利を上げたら、日本の株価は下がるだろう。少なくとも上がり方が抑えられる。つまり、日本株より海外株のほうが、リターンが高くなる。であれば、NISAによる海外株への投資は拡大する。つまり、純資本流出は拡大する。拡大した純資本流出と同額の経常収支黒字を作るためには円は下落しなければならない。要するに、金利を上げれば円高になるとは言えないのである。