カレーの「おいしさの正体」とは?『調理科学×カレーの事典 (食の事典シリーズ)』
水野 仁輔 (監修)
定価1,980円
(朝日新聞出版)

 きつね色に炒めた玉ねぎよりもあめ色に炒めた玉ねぎのほうが玉ねぎの味が濃いため、カレーがおいしくなる。それはわかります。では、4人分のカレーを作るために「玉ねぎ1個をあめ色にする」のと「玉ねぎ2個をきつね色にする」のでは、どちらが濃くなりますか?すぐに答えが出る人は少ないと思います。カレーの濃縮の度合いといった場合、1人分あたり、どの程度の材料が使われているかがついて回ります。

 この視点を玉ねぎだけでなく、カレーの材料すべてに拡大解釈してみましょう。総量1000グラムの材料で800グラム(4人分)のカレーAを作ったときと、総量1600グラムの材料で800グラムのカレーBを作ったとき、濃縮の度合いを計算してみてください。カレーAは11.3倍、カレーBは2倍となります。すなわち、AよりもBのほうが味が濃いカレーということになります。カレーは濃縮の度合いで捉える時代なのです。

(構成 生活・文化編集部 森 香織/写真 齋藤圭吾)

AERA dot.より転載