夫婦それぞれが効率の良い働き方で
仕事と子育てに取り組む

 次は、残業を全くしなくなった中村さん(男性・技術系・子どもあり)の話である。企業の中には、残業を良しとしない風土が作り上げられているところもある。中村さんの会社はまさにそういう会社だ。中村さん自身も、もともと残業が多い方ではなかったが、子どもが生まれてからは全く残業をしなくなった。

「子どもが生まれてからは、残業なしで回していこうと思うようになりました。残業すると家庭が回らなくなってしまうので、その辺の仕事のやりくりの仕方が変わったと思います。今はフレックス制度を使って、自分が迎えに行っています。15時半に会社を出て17時ぐらいに保育園に迎えに行き、帰って18時前にお風呂に入れます。18時半からご飯を食べて、19時すぎには子どもたちは寝ます。夕飯を作るのは妻。食器洗いや洗濯は自分がします。一番効率の良い動き方がこれなので、なんとなく決まりました。妻は在宅(勤務)なので、この方がやりやすいという感じになったのです。朝は5時に起き、自分で朝ご飯を作って出勤します」

 早く帰宅し、子どもたちが寝るまでの家事・育児を夫婦で分担している。定時帰りだけでなく、フレックス制度でさらに子育てがしやすい環境になっているようだ。

 次に、定時帰りについて、少し特殊な体験をした男性を紹介したい。

 林さん(男性・技術系・子どもあり)は、海外勤務で外国人と一緒に働いた経験を持っている。そこでの働き方が、現在の働き方に影響を与えていると言う。

「海外勤務していた時、現地で働いている人は定時で帰りました。スパッと帰れるのは日本人と違うところかと思います。やり残した仕事があっても、トラブルがあっても帰るのです。無責任な感じも受けましたが、スパッと帰るというのは今の働き方に影響を与えていると思います。自分も、よっぽどのことがない限り、帰るようになりました」

 それまでの林さんの職場は、若い人に割と大きな仕事を任せる風土があり、連日、深夜まで働いていた。しかし海外勤務となって考え方が大きく変わる。