「家事・育児は半々か、なるべく自分が、意識的に多くしていました。父親はおっぱいが出ないだけで後は全部、母親と同じという考え方があったからです。しかし、後に妻は『自分だけが育休で(仕事を)休むのは違うのではないか、2人目ができたらあなたが取ってよ』と言うようになりました。自分もその時は『取るよ』と流していました。そんなこともあり第二子が出来たときに、これは本当に取らないといけない、ということになり、上司に相談して取らせてもらいました」

 妻の「仕事をずっと続けたいので早めに復帰したい」という思いと、妻からの育休取得の希望を横山さんが汲んだのだ。自身も職場で育休取得の布石を打っていた。

「職場でも『2人目ができたら育休を取る』と言っていたので、有言実行しないといけないと思いました。(男性が)育休を取ることはまだ当時は珍しかったので、周りの理解は難しく、『どうぞ取ってください』という雰囲気ではなかったです。しかしパイオニアの自負があったので、結構戦ってきました。そうしないと妻にも怒られますので」

 半分照れ隠しもあるのだろうが、積極的に周囲を巻き込んで計画を進めていったことがうかがえる。

「協力してもらえるように、自分が仕向けました。上司はなかなか首を縦にふらなかったのですが、自分は取りたい、取るべきだと思っていました。その時、同僚、職場の女性陣が応援してくれました。2カ月あけることになるので、前準備もしっかりとして、周りにもお願いしました」

 2カ月の育休を取得した横山さんは、長期で育休を取得した男性としては社内第2号だったそうだ。

上司が育休を取得した前例と
会社内の育休取得推奨が後押し

 太田さん(男性・技術系・子どもあり)は、妻より自分の会社の方が制度や風土が育児と両立しやすい会社であると考えており、自分が融通を利かせて家事・育児をしようという意思を持っていた男性だ。

「1カ月の育休を取りました。自分は『休む宣言』をしていて、会社としても育休を推奨していたので、前例にもなるのでいいかな、と思いました。その1年前に、上司も数週間の育休を取っていましたので、育休を取得することに対して『えー』ということはありませんでした。妻は仕事を辞めたくないという人です。ハードワークをしている妻よりも、融通が利く自分が育児をやろうと思っていました」