家事・育児を育休中に始め、現在もこなしている山本さん(男性・技術系・子どもあり)の日常を紹介しよう。

「妻は里帰り出産でした。子どもが生後1カ月の時、年末年始と有休を使って里帰り先で3週間ほど過ごしました。その時はおむつを替えたりお風呂に入れたりしていましたが、本格的に家事・育児をするようになったのは、妻が職場復帰してからです。妻の復帰後は、迎えは妻が行って食事を作り、自分は朝送ることになりました。分担は自然に決まりました。自分は6時から6時半に子どもを起こし、ご飯を食べさせて着替えさせ、保育園の準備をして、保育園に連れて行きます。子どもがお風呂に入る前には帰宅して、子どもと遊びつつ洗濯物を片付け、お風呂に入れて寝かしつけます」

「2人目ができたら育休を取る」職場で宣言した男性のその後本道敦子 山谷真名 和田みゆき『〈共働き・共育て〉世代の本音』(光文社)

 日々の家事・育児がルーティン化されているようだ。子どもができてから生活のリズムが大きく変わった現状について、山本さんはこう語る。

「自分の時間があったらいいな、とは思いますが、これ以上妻にやってほしいことはありません。負担になってしまうから。時間がないのはお互い様です」

 妻も働いており、夫婦の忙しさは同じだ。お互いをよく理解しながら、仕事と育児を両立させている夫婦である。

 夫も妻も同じ様にキャリアを積んでいくためには、どちらか一方に家事・育児の負担が偏ることは好ましくない。そういう意味では、夫が家事・育児を一手に引き受ける日があれば、妻が時間を気にせずに仕事に打ち込む日ができる。男性が育休を取って家事・育児のトレーニングをすることは、夫婦がそれぞれのキャリアを自律的に考え形成し、仕事においても家庭においても充実した生活を実現するための、最初の一歩なのだ。