ビジネスも同じです。いつも決まった言葉を使い、誰にでも同じパターンで話をしていたのでは、相手の心を動かすことは難しいものです。相手のことをよく観察して、相手の話を聞いて、相手のことをよく知って、相手に合った売り方をしていきたいですね。

 もしかすると、「オンラインショップなどで商品を買うときは、お店の人と対話していないけど、欲しい気持ちになって買っているよ」と思う人もいるかもしれません。

 しかし、そのオンラインショップのサイトも、売る側がひとりよがりでつくったものではなく、お客様との対話を重ねながら、お客様の気持ちに寄り添ったものになっているからこそ、売れていくのです。

「アート」と「デザイン」は違う

「売る」と「売れる」の違いは、アートとデザインの違いに似ています。アートとデザインは、とても似ているけれど、その違いは何だと思いますか?

 いろいろな答えがあり、僕の意見が正解というわけでもないのですが、僕の考えるデザインとアートの違いをお話ししますね。

 まず、アートは、自分が描きたいものを描けばいいので、正解がないですよね。周りが理解できなくても、本人がそれでいいならいいのです。

 一方、デザインは、相手に何かを伝えたいという前提で生み出されるものです。だから正解があります。たとえば、チラシであれば、反応率の高いデザインが正解になりますし、案内板であれば、誤解する人が少ないデザインが正解と言えるでしょう。

書影『売らずに売れる技術』(ワン・パブリッシング)『売らずに売れる技術』(ワン・パブリッシング)
河田真誠 著

 アートは、自分一人でつくるもの。
 デザインは、相手と一緒につくるもの。

 たとえば、僕がただ「自分が好きだから」と歌を歌うことはアート。「落ち込んでいる人を元気づけたいな、笑顔になってほしいな」という気持ちで歌えば、それはデザイン。

 ビジネスでは、デザイン的な発想をすることが大切です。なぜなら、すべての売上は「ありがとう」からつくられているからです。

 では、どうすれば、お客様に喜んでもらえるのか?
 
 僕は「お客様とたくさん対話をすること」でその答えが見つかると思うのです。

売れる技術(4): お客様とたくさん対話をする