おいしい空気を吸い込む
自分なりのアロマテラピーを

 女性にはよく知られているのに、男性にはあまり知られていないもののひとつに「アロマテラピー」がある

 アロマ、つまり香りのセラピー、治療、というわけだが、香りというとエーッと顔をしかめる男性が多いのは、多分きつい香水を連想してしまうからだろう。

 アロマテラピーで使用する精油は、すべて植物からの抽出物だから、化学物質を含む香水とは全く違う。香りを毛嫌いなさっている男性諸氏は、ぜひ本物の精油の香りを体験してほしい、と思う。

書影『いい気分の作り方 困難な時代の心のサプリ』(毎日新聞出版)『いい気分の作り方 困難な時代の心のサプリ』(毎日新聞出版)
海原純子 著

 アロマテラピーは、主として精油の香りをかぐことによって、症状を緩和したり、リラックスをする療法。ヨーロッパでは約100年前から本格的に医療にとり入れられるようになったが、古くはギリシャ・ローマ時代から、疫病の予防などに用いられてきたという。現在では、医師が処方し、調剤薬局で薬剤師が精油を管理して調剤するというメディカルアロマテラピーもパリでは行われていて、治療の選択肢になっている。

 香りは自律神経に作用する。おいしそうなにおいが漂うと、お腹がグーッと鳴るのは、自律神経に作用して胃腸運動がはじまったからなのだ。どんなに理性でおさえようとしても、香りで反応する自律神経、ということを利用するのがアロマテラピー。

 あれこれ思考をめぐらし疲れ切ったときは、香りでリラックスしよう。樹々の香りの中で深呼吸するのでもいいし、好きな花を部屋に飾ってもいい。天気のよい秋の日に、おいしいな、と感じる空気を鼻に、心にいっぱい吸い込む、自分なりのアロマテラピーをどうぞ。