(6)結論を出す
 最終的な結論を出します。これは、あなたが行った分析や推論に基づいて、問題に対する答えや解決策を導き出すことです。

 これらの6つを順番に実践することで、論理的思考を身につけることができます。訓練を続けることで、より論理的に問題に取り組むことができるようになります。

 思考実験をすることによって、より高度な問題にも対応できるようになります。

 ビジネスの世界では、売り上げを上げるために、新しい製品やサービスをつくるためにも、成功したやり方や製品の「再現性」が重要な成功の要素になっています。

 つまり、成功の因果関係や法則性を調べることが重要になってくるのです。そのためには、論理的思考は不可欠なのです。

家族のコミュニケーションが
いかに大切か気づかされる

【思考実験1「誰も望まない旅行」】

 ある真夏の日曜日、父親が家族で海の近くの温泉に出かけようと言いました。

 しかし、息子は野球の約束があり、「すでに予定が入っている」と言おうとしたときに、母親と娘が「素晴らしいアイデアね。久しぶりだし、楽しみましょう!」と賛成したため、反対することもできず、息子はしぶしぶ賛成しました。

 しかし、温泉までの道のりで、大渋滞に巻き込まれ、料理も温泉もあまりよくはありませんでした。長時間の運転で疲労のピークに達した父親は、「本当は近場で、釣りでもしたかった」と口にすると、母親と娘も「私たちも本当は買い物に行きたかったのよ」と言い出しました。それを聞いた息子は、「僕だって、本当は野球の約束があったんだ。でも、みんなが、賛成するから……」と言ったのです。

 提案者である父親を含めて、誰も旅行に行きたくなかったということを家族全員が知ったのは、旅行が終わったあとだったのです。なぜこんなことが起きたのでしょうか?

【解説】

 これは、集団思考の一例として有名なパラドックスです。

 これは、アメリカの経営学者であるジェリー・ハーベイが考えた「アビリーンのパラドックス」と呼ばれる思考実験です。

 原典では、暑さのピークの時期にわざわざ砂漠を通って、アビリーンという街まで行く家族がモチーフになっています。

 誰も望んでいないのに、お互いに気を使ったり、変更するのが面倒だったりする場合、みんなが望んでいると思って、悪い方向に進んでしまう集団心理を表しています。

 この「アビリーンのパラドックス」は仕事でもよく起こります。