自分だけ早く仕事が終わり定時で帰れるのに、上司や周りに気を使ってダラダラと仕事をしてしまうのもこのパラドックスです。

 こうならないように、本音が言えるような信頼関係を日頃から築くことを心がけることが大切です。

ヒヨコがミキサーにかけられると
なぜ可哀想と感じるのか

【思考実験2「ミキサーにかけられたヒヨコ」】

 かわいい声でピヨピヨと鳴いている1羽のヒヨコがいます。

 このかわいいヒヨコがミキサーにかけられているのを見たら、あなたは「なんて可哀想なことをするんだ」「なんて酷いことをするんだ!最低!」と感じることでしょう。

 ほとんどの方が同じことを思うはずです。

 では、なぜそんなに可哀想と感じるのでしょうか?

 ミキサーにかけられる前のヒヨコと、ミキサーにかけられた後のヒヨコでは一体何が違うのでしょうか?

【解説】

 これは生物学者のポール・ワイスが考えた思考実験です。

 ヒヨコがミキサーにかける前と、後では、その生き物が持っていた特徴や機能が大きく変わってしまいます。しかし、物質的には何も変わっていないのです。この状況で、ポール・ワイスは「生物学的組織」というものが失われると言っています。

 生物学的組織とは、生き物が持っている構造や部分のことです。

 たとえば、細胞や組織などが含まれます。ポール・ワイスは、この生物学的組織がなくなることで、生き物が持っている機能も失われると言っています。

 つまり、生き物が生きていくために必要な働きや機能は、生物学的組織と密接に関連しているのです。

 この考え方から、生物学的組織と生物学的機能はとても密接に関連していることがわかります。ただし、生物学の勉強をするときには、生物学的な構造だけではなく、その構造がどのように機能するかも大切になります。

 ポール・ワイスの思考実験は、生物学の勉強を深める上で、細胞や組織だけでなく、その働きも理解することの重要性を示しています。

 ただ、いくら想像上のことだとしても気持ちのいい思考実験とは言えません。

 もしかしたら、ポール・ワイスも今でいう炎上商法のように話題になることを優先してこの実験を考えたのかもしれません。