【思考実験】「バーチャル不倫」サービスは、なぜすぐに廃れたのか?写真はイメージです Photo:PIXTA

混沌とした現代社会でますます必要な「自分の頭で考える力(思考力)」。思考力を鍛えるべく、著者がすすめているのが「思考実験」という“考えるゲーム”だ。「考える力」を身につけることは「生きる力」になる。自身の性格、道徳観、思考能力がすぐにわかる、3つの「思考実験」をお試しあれ。※本稿は、笠間リョウ氏『頭がいい人の論理的思考が身につく!大人の思考実験』(総合法令出版)の一部を抜粋・編集したものです。

「バーチャル不倫」サービスは
なぜすぐに廃れてしまったのか

【思考実験1「バーチャル不倫」】

 人生にはさまざまなイベントがあります。結婚や出産、子どもの大学入試、就職など……。そうした人生の重要なイベント時期に、さまざまな圧力がかかって、パートナーとの信頼関係にひびが入ってしまうことも少なくありません。

「どうして、私の言うことをわかってくれないのか?」

「早く離婚したい。相手の顔を二度と見たくない」

 でも、一方でどこか物寂しい気分を抱く人も少なくありません。そうやって不満を抱いている人の一部には不倫に走ってしまう人もいるかもしれません。

 しかしながら、不倫はバレたときの代償が大き過ぎます。離婚、慰謝料や養育費の支払い、自宅は取り上げられ、自分の子どもに会えなくなってしまうかもしれません。社会的な信用を失ってしまうこともあります。

 そこで、不倫はしたくないけれども、ちょっとだけ火遊びをしたいという人向けに、「バーチャル不倫」というAIとVR技術を駆使した最新型の映像体験サービスがリリースされました。自分の性格や好みを入力すると、AIがその人の好きなシチュエーションを構築します。リアリティのあるバーチャル空間で出会いの機会が提供されます。

 情事の相手はAIがアレンジし、ユーザーがもっとも望む、言葉や行動を取ってくれます。費用は月額制で、ユーザーは不倫を体験している間は、カプセル型のルームで横になりながら、リアリティのある仮想体験をすることができます。

 仮想空間でアバターを通じて本物の人間とつながり、恋愛や性行為をするのではなく、不倫相手はAIなので、完全にバーチャルな情事を楽しむことができます。リアルの人は介在しないので、本当の不倫ではありません。

 浮気のスリルと快感を満喫することができるバーチャルサービスですが、サービスが開始された当初こそ、話題になったものの、すぐに廃れてしまいました。一体、何が原因だったのでしょうか?