それがある程度溜まってくると、白血球が外敵と見なして攻撃を開始するため、激しい炎症が生じて激痛を引き起こす(痛風発作)というわけです。

 患者の95%は男性です。以前は中高年が罹る病気でしたが、最近は20代、30代でも発症するひとが増えてきています。

 また女性の患者も徐々に増えていると言いますから、女性だから安心というわけにはいきません。

 尿酸カルシウムが腎臓に沈着すると、腎機能の低下が起こります。尿路に沈着すれば、尿路結石となって七転八倒の痛みに襲われることがあります。なにしろ尿路結石は、あらゆる病気のなかで最強の痛みとも言われています。

 尿路結石は、痛風患者の数%から10%以上で合併するそうです。痛風発作と尿路結石に同時に襲われたら、我慢の限界を超える痛みかもしれません。

 日本人間ドック学会の基準値は、男女共通で、以下のようになっています。単位はmg(ミリグラム)/dL(デシリットル)です。

表29:尿酸の基準値同書より転載 拡大画像表示

 ただし痛風発作が起きるかどうかは、尿酸値だけでなく、個人の体質などにもよります。7を超えた程度で発作が起きるひともいれば、10でも大丈夫というひともいます。

 病院では尿酸値が7.1~8.9のひとに対しては、まだ痛風発作を経験していなければ生活指導で経過観察、すでに痛風や尿路結石を経験していたり、腎機能の低下の兆しが見える患者に対しては、尿酸値を下げる薬を処方するのが一般的です。

 一方、尿酸値が2.0以下になると「低尿酸血症」と呼ばれます。遺伝的に、腎臓からの尿酸の排泄が活発なひとで、男性の0.2%、女性では0.4%が該当します。とくに自覚症状はなく、普通に暮らしていれば不都合はありませんが、他のひとと比べてなぜか尿路結石になりやすいと言われています。

尿酸値が高いと
認知症リスクが低下

 尿酸値が上がると、痛風や尿路結石のリスクが上がりますし、放置しておけば慢性腎不全に進むこともあります。それだけでなく動脈硬化、不整脈、糖尿病などのリスクも上がることが知られています。

 ですから尿酸値を適度にコントロールすることが大切なのですが、高いからといって、必ずしも悪いことばかりとは限りません。

 実は尿酸値が高いと、アルツハイマー病を含む認知症のリスクが低くなることが知られているのです。