「掃いて捨てるほど女がいる…」あだ名は“ほうき”の伊藤博文が年をとっても元気だったワケ【医師・和田秀樹が解説】写真はイメージです Photo:PIXTA

男女ともに50代以降はホルモンバランスの崩れ、更年期障害を招きやすい。また、男性の更年期障害はうつ病と症状が似ており、やる気や好奇心がなくなるためQOLが著しく低下してしまう。こうした事態を防ぐためには男性ホルモンを高めるホルモン補充療法を和田秀樹氏はすすめる。本稿は、和田秀樹『50代うつよけレッスン』(朝日新書)の一部を抜粋・編集したものです。

性ホルモンが減少すると
心にも体にも悪影響をおよぼす

 50代以降になると心身が大きく変化するため、自律神経が乱れ、日常的に不安を感じやすくなります。その結果、うつ病になる人も増えるわけですが、普段から物ごとの捉え方や考え方をうつになりにくいものへ変えていくと同時に、生活リズムや食事、運動など、うつ病になりにくい生活習慣を身につけることも重要です。

 特に重要なのが、ホルモンバランスを整えることです。

 性ホルモンは人間の精神状態に大きな影響を及ぼします。

 たとえば、女性の場合は、妊娠中や出産後、ホルモンの急激な変化や出産によるストレスや疲労によって、うつ的な症状が出やすくなる「産後うつ」になる人が一定数います。過度な落ち込みや不安、不眠、気力減退、興味や喜びを感じなくなるなどの症状が続き、母子のどちらにも深刻な影響を及ぼすことがあります。

 また、40代、50代の更年期と言われる時期にもホルモンバランスが崩れて自律神経系の不調が起こり、疲労感や倦怠感、のぼせや冷え、多汗、動悸などのほか、頻尿や残尿感、肩こりや関節炎、血圧の乱高下をもたらすことがあります。仕事や家事などの日常生活に支障をきたして、婦人科で更年期障害の診断を受ける人も少なくありません。

 男性の場合、男性ホルモン(テストステロン)のピークは20代で、その後はゆるやかに減少し続け、70代以降になれば女性よりも分泌量が低くなります。

 男性ホルモンは主に性機能を高める働きが有名ですが、それ以外にも、筋肉量を増やしたり、内臓脂肪が増えるのを抑えたり、動脈硬化を防ぐなど、さまざまな役割を担っています。ですから、加齢で男性ホルモンが減ってくると、体にさまざまな影響が出てきます。

 たとえば、筋トレをしているのに最近は筋肉がつかなくなったと感じている人は、ホルモン値を調べてみてください。

男性の更年期障害は
うつ病と症状が似ている

 男性ホルモンの分泌が少ないと、いくらトレーニングをしても、これまでのようには筋肉を増やすことができません。

 また、男性ホルモンは判断力や記憶力にも関係しており、男性ホルモンの分泌が減ると、もの忘れや集中力、記憶力の低下や意欲減退が見られることがあります。