2017年の日本産婦人科学会のガイドラインでも、新しいタイプの補充療法はむしろ大腸がんのリスクを下げるとしています。

 また、ホルモン投与の前には検査で乳がんの有無を入念に調べ、投与後も定期的に検査を行いますから、むしろ定期的に検査を行うことで、がんによる死亡率が下がるとも言われています(ただし、乳がんの既往歴がある場合は治療を受けられないことがありますので、医療機関での確認が必要です)。

 ホルモン補充療法で不足している女性ホルモンを補ってホルモンバランスを整えると、更年期の症状から解放されることも多く、若さと健康を保つこともできますから、辛い症状に悩んでいる人は婦人科で相談してみることをお勧めします。

注射や塗り薬などで
テストステロンを補う

 一方、男性のLOH症候群でも、ホルモン補充療法に高い効果があります。

 注射や塗り薬などでテストステロンを補うことによって、更年期障害の症状を緩和させるのです。

 日本では、主に泌尿器科や男性更年期外来、メンズヘルス外来などの医療機関でこの治療法を受けることができます。その場合も前立腺がんなどホルモン依存性のがんを患っている人は治療を受けられないといった禁忌項目があるため、医療機関での確認が必要です(基本的に、40歳以上で自覚症状がある場合は保険適用になりますが、日本ではホルモン補充療法を受ける人が少ないのが現状です)。

 これといった自覚症状がなくても、アンチエイジングが目的で、自費診療でホルモン補充をする場合もあります。

 私自身も、抗加齢医学の国際的権威であるクロード・ショーシャ博士の指導の下で男性ホルモン補充療法を行っていますが、ホルモン補充を経験した人の多くが「すぐに意欲が出てきた」「元気になった」「頭が冴えてきた気がする」といった即効性を認めています。

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 サプリよりもはるかに効き目があります。意欲が高まるだけでなく性欲が回復することも多いため、男性ホルモン補充療法にはリピーターも多いです。

 意外に思われるかもしれませんが、この男性ホルモン療法は女性にも行われています。少量の男性ホルモンを足すことによって、女性にも意欲が出てきて元気になるのです。

 実際に私のクリニックでも、男性ホルモン療法を行ったところ、バリバリ仕事ができるようになって喜んでいる女性の経営者やクリエイターの方もいます。