2024年6月、政府が2033年にゲーム・アニメなどのコンテンツ産業を20兆円の海外市場に成長させるという戦略を発表した。IP(知的財産)をどう活用すればいいのか。多数のヒット作を持つバンダイナムコグループを支えるバンダイナムコエンターテインメントの宇田川南欧社長に話を聞いた。前編では、ガンダム、ドラゴンボール、ワンピースのIPが三本柱としてグループ売上高1000億円超まで成長した背景に迫る。(ダイヤモンド・ライフ編集部 大根田康介)
グループシナジーを活かす
三位一体で挑むIP価値の最大化
――政府がゲーム・アニメなどのコンテンツ産業を成長させるという戦略を打ち出しました。そこで重要になるのがIP(知的財産)です。その点、バンダイナムコグループでは、いち早く「IP軸戦略」を掲げ、国内トップクラスのコンテンツ企業として市場をけん引しています。バンダイナムコエンターテインメント(以下、BNE)のIP軸戦略についてお聞かせください。
まず、バンダイナムコグループの構成から紹介します。グループはエンターテインメントユニット、IPプロデュースユニット、アミューズメントユニットの三つのユニットに分かれています。
エンターテインメントユニットには二つの主要な事業があります。一つは、BNEが統括するデジタル事業で、この事業では主にモバイルコンテンツ、家庭用ゲーム、ライセンス事業を担当しています。もう一つは、バンダイが統括するトイホビ―事業です。
さらに、IPプロデュースユニットはバンダイナムコフィルムワークスが統括し、アミューズメントユニットはバンダイナムコアミューズメントが統括しています。
この三つのユニットが連携しながらエンターテインメントコンテンツの提供だけでなく、さまざまな製品や施設、ゲームなど多岐にわたる事業を展開できるのが当グループの大きな特徴です。日本だけでなく世界中に拠点があり、各地域の好みに合わせたエンターテインメントを提供できます。
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そしてIP軸戦略とは、さまざまなキャラクターやコンテンツの価値を最大限引き出すための一連の戦略です。例えば、当グループでは400種類以上のキャラクターを取り扱っており、それぞれの世界観や特性、リリースする時期や商品内容を吟味しながら最適な地域で展開しています。
――ユニットが三位一体となったIP軸戦略はいつから始まったのでしょうか?