帰国子女が英語学習で
圧倒的に優位な理由

 のぞむ、あすか、じゅんは、入学当初、帰国子女の学生との間にカルチャーショックを感じ、戸惑いを覚えたが、帰国子女であるみずきにとっては、自分を受け入れてくれる温かな場所であった。さらに、多くの日本人学生が英語の壁によって苦労を強いられていたが、みずきは特に言語で困ったことはなかったようだ。

筆者:授業はどういう印象?

みずき:全然難しくない、普通だよ、ちょうどいい、ちょうどいいぐらい。

 みずきはAmerican politics(アメリカ政治)の授業について次のように話している。この授業は、当時、多くの日本人学生が苦戦していた授業である。

筆者:難しかった?

みずき:全然。趣味でけっこうその、パラパラ(っとした)イメージとかだけど好きだったから。あとポッドキャストとかたまに聴いてたのよ、当時。その内容を授業でされても、いいやもう、それ知ってるし、みたいなぐらいのことだったのよね。

筆者:事前知識があった?

みずき:そうそうそう。だからなんか、アメポリ(American politicsの授業の略)って結局はさ、アメリカの政治系のやつを扱うじゃん。ってことは、その前ぐらいから知ってないとついていけないじゃん。元々。

みずき:だってオバマケアがどういう経緯で導入されたかとか、何でこんなに大きい問題になってるのかとかさ。たぶん、アメリカとかにいないと分かんないじゃん。向こうに住んでたからこそ、そこは何か、なんとなく知ってたし、もうちょうどなんか、オバマが大統領選やってるときとかもいたから。分かるし、っていう感じ。

 言語の壁がなく、かつ、バックグラウンドによる事前知識があったため、障壁はなかったという。事前知識の有無は、授業の理解度に大きく影響していた。