ノンレム睡眠の時、体は副交感神経が優位の状態で、血圧や心拍数、呼吸、体温などが低下します。さらに、疲労回復や子どもの成長促進などを行う「成長ホルモン」の分泌量が増えるのも、ノンレム睡眠の時です。このノンレム睡眠が足りないと、脳を休ませることができません。

試験前の徹夜は無意味!?
睡眠は記憶の定着をアシストする

 また、ノンレム睡眠は、その眠りの深さによって4つの段階に分けられています。入眠から第1段階はごく浅い眠り、第2段階で呼吸が整って睡眠状態が安定し、さらに第3段階、第4段階で眠りは深くなります。そして、目覚めに向かうほど眠りの深度が浅い状態が増えていきます。

 睡眠が足りないと、体が休まらないだけでなく、脳内の整理も十分にできません。言ってみれば散らかった部屋の中で工作をしているようなもので、材料が見つからなかったり、間違えて違う材料を使ってしまったりするかもしれません。

 同様に、睡眠は記憶の定着にも大切な役割を果たしています。

 たとえば、漢字や英単語の暗記や、昨日の自分の行動の記憶は、ノンレム睡眠の第3段階、第4段階に固定化すると言われています。また、自転車の乗り方や泳ぎ方のように体で覚えるような記憶は、レム睡眠の時に固定化するそうです。

 試験前に徹夜で漢字や英単語を覚えようとする学生さんがいますが、無理をせずに3時間(90分×2)、少なくとも90分でも一度睡眠を取ることで、記憶が定着して覚えられるようになります。数学や物理の研究者の方でも、ずっと解けずに悩んでいた問題が、一晩寝ると解けることがあるというエピソードがあります。

 質の良い睡眠をしっかり取ることで、脳内の整理もうまく行うことができるでしょう。

図表:睡眠のサイクル同書より転載 拡大画像表示