アルツハイマー型認知症
その特徴とは

 記憶には大きく分けて、短期記憶(数日)、言葉で表現できる長期記憶、言葉で表現できない長期記憶(手続き記憶)があります。

 さらにはそれよりも短い情報を保持・処理する能力ワーキングメモリーがあります。ワーキングメモリーの容量には限界があり、さまざまな出来事から命にとって脳が大事だと判断した記憶を優先的に残していると言われます。

 数字や視覚に関するワーキングメモリーは40歳から下降していきます。トランプによる神経衰弱などが苦手になってきます。一方で言葉、語彙、知識などの固定化した記憶は60~70歳まで衰えないと言われています。司会者や解説者、コメンテーターが高齢でも活躍できているのは、この脳機能が比較的長く維持できるからです。

 アルツハイマー型認知症の特徴は、手続き記憶を忘れることです。料理をする、トイレへ行くといった手続きが連続して必要なタスクそのものをすべて忘れてしまうのです。トイレの前で立ち止まって何をするかわからなくなるので、一般の人が物忘れと言っている程度であればほとんど問題はありません。

 今ではMRIを使った検査で脳の中の線維(白質)だけを画像化することができます。これをディフュージョン・テンソール・イメージ:(DTI)と言います。DTIを見れば、脳内の白質線維量、すなわち神経線維の結合がどのくらいあるかがわかります。

アメリカではアルツハイマー型認知症が半減!日本では減らない驚きの理由『脳は何歳からでもよみがえる』(アチーブメント出版)中冨浩文(著)

 神経線維である白質の変化は年齢に相関します。ただ、脳血流の落ちている人のほうが白質も変化しやすいことがわかってきています。脳血管の老化がミクロなレベルで始まっている人は、脳血流が先に落ちます。次的に脳内のシナプスの結びつきである白質の量が減ってくると、脳内のネットワークがダウンしてしまうので、認知機能が落ちてくるという概念が提唱され始めています。

 つまり、若い脳を維持するとは、脳のネットワークが円滑になるように、血管を含めて病気を予防したらよいというのが結論です