プラットフォームは新設計で、ラインアップからもわかるようにBEVと内燃機関の両方に適応する。パワーソースは出力違いの2種類のBEVと2種類のガソリン車という設定で、クーパーCが1.5L直3ターボ(115kW)、クーパーSが2L直4ターボ(150kW)、そしてクーパーE(135kW)と同SE(160kW)がBEVとなる。すでにお気づきだろうが、今回の4世代目は全グレードに“クーパー”が付く。“ワン”がなくなり“クーパー”に統一されたのだ。ジョン・クーパー率いるクーパー・カー・カンパニーの功績はいまも讃えられている。なんたってF1のコンストラクターまで上り詰めた優秀なガレージである。
遊び心に溢れた個性の持ち主
走りはBEVでもMINIらしくFUNそのもの!
新型MINIの好感度はかなり高い。デザインはオーセンティックで嫌みなところはいっさいなし。シンプルで飾り気がないのがMINI流だ。ボディパネルはすべて新設計。全体のバランスがよく、スポーティにも可愛らしくも見える。唯一自己主張しているのはLEDヘッドライトユニット。3種類のシグネチャーライトを操作ディスプレイから選ぶことができる。MINIらしい遊び心だ。
インテリアもまた遊び心に溢れる。7種類の“エクスペリエンス”がその代表。それぞれまったく異なる世界を表現してくれる。具体的にはセンターの大型ディスプレイの印象がモードによって変わる。ゴーカート/コア/グリーン/ヴィヴィッド/タイムレス/パーソナル/バランス、といったモードだ。それぞれモニター表示が視覚的にイメージを変えるのだが、中には聴覚的にも変わる設定がある。ドライブフィールもそう。ゴーカートではステアリングやアクセルなど操作系がクイックレスポンスになり、グリーンではその逆が起きる。グリーンはエコってこと、なかなかのこだわりだ。ここで全部は説明できないので、興味がある方はショールームへどうぞ。
ところで試乗車だが、用意されたのはクーパーSE、つまりハイパワーBEVの一択だった。新しいシャシーで3気筒エンジンを味わいたかったが、それは叶わなかった。が、クーパーSEで走り出すと新型の魅力を理解した気がした。想像以上によくできたBEVだったからだ。“よくできたBEV”とは、ガソリンエンジン車と相違ない走りという意味である。これまでたくさんのBEVを走らせたが、どれも床に積んだバッテリーが重く、動きが鈍重になりがち。バネ下の動きも鈍るため鉄下駄を履いたような走りといいたくなるものばかりだった。が、MINIは違った。重ったるい挙動はなく、出だしから軽快に動き出す。コーナーリングもそう。揺り返しは微塵も感じない。右へ左へステアリングを切った方向へ気持ちよく鼻先を向ける。これぞガソリン車から乗り換えても変わらないドライブフィーリングである。