英語を勉強しているが、英会話の上達を実感できない――そんな人に試してほしい1冊が『中学英語だけで面白いほど話せる!見たまま秒で言う英会話』だ。「イラストを見る→見たままを英語にする」を繰り返すことで、日本語を介さず瞬時に答える「英語の反射神経」を鍛えることができる。本稿では、著者の森秀夫さん(麗澤大学外国語学部教授)に「話す力を伸ばすための学習法」について教えてもらった。
話せるようにならない原因は、「学習のバランス」の悪さ
――私たちは学生時代からたくさんの英語の勉強をしていますが、実際に英語を話す場面になると、頭が真っ白になって、簡単なことさえ口にできません。話す力を伸ばすためにはどうしたらよいのでしょうか。
森秀夫(以下、森):日本人は一般的に真面目で、英語の学習に熱心に取り組む方が多いですが、それにもかかわらず、「英語を話す力がなかなか向上しない」と悩む方は多いです。
英語を熱心に勉強しても話す力が身につかないという方は、学習のスタイルを見直すべきかもしれません。
あなたの学習スタイルを知るために、以下の20の質問にお答えください。それぞれの質問に該当するものに「〇」をつけてみましょう。
1. 英語の小説や英字新聞を読んで、言語スキルを向上させている。
(はい / いいえ)
2. ネイティブスピーカーや言語交換パートナーと英語を話す練習をよくしている。
(はい / いいえ)
3. 英語の映画やテレビ番組を字幕付きで観るのが好き。
(はい / いいえ)
4. 英語でエッセイや日記、ブログを書くことを定期的に行っている。
(はい / いいえ)
5. 英語のポッドキャストやオーディオブックを定期的に聞いている。
(はい / いいえ)
6. オンライン英会話に加入し、毎日英語を話している。
(はい / いいえ)
7. 英語学習アプリや英単語集を使って語彙を増やしている。
(はい / いいえ)
8. 英語でプレゼンテーションやスピーチをする機会を設けている。
(はい / いいえ)
9. 英語の音楽を聴き、歌詞に注目している。
(はい / いいえ)
10. SNSを使って英語でチャットしている。
(はい / いいえ)
11. 文法の問題集や文の構造を勉強する時間を取っている。
(はい / いいえ)
12. 英語で動画などを作ってネット上で公開している。
(はい / いいえ)
13. 英語のテキストを日本語に翻訳して理解を深めている。
(はい / いいえ)
14. シャドーイング(英語の音声を聞きながら同じ内容を声に出して繰り返すトレーニング)を行い、発音やイントネーションを改善している。
(はい / いいえ)
15. 英語のニュースを観ることで理解力を向上させている。
(はい / いいえ)
16. 自分の経験や作り話を英語で語る「ストーリーテリング」をしている。
(はい / いいえ)
17. TED Talksの英語字幕付きビデオを見て、スピーキングスキルや発音、プレゼンテーションスキルを学んでいる。
(はい / いいえ)
18. SNS上で英語で質問に答えたり、他の学習者に質問したりしている。
(はい / いいえ)
19. 英語のニュースレターやメールマガジンを購読し、日々の英語学習に役立てている。
(はい / いいえ)
20. 英語のスピーキングテスト(TOEFLやIELTSなど)を受けて、自分のスピーキング能力を客観的に評価している。
(はい / いいえ)
森:いかがでしたでしょうか? これらの質問には、インプット型(読む、聞くなどの受動的な学習)とアウトプット型(話す、書くなどの能動的な学習)が含まれています。
奇数番号の質問、つまりインプット型の質問に「はい」の回答が多い方は、主に読む、聞くなどの受動的な学習スタイルを好む傾向があります。こういった学習を続けると、語彙や文法の知識が増え、理解力が向上するでしょう。
一方、偶数番号の質問、つまりアウトプット型の質問に「はい」の回答が多い方は、主に話す、書くなどの能動的な学習スタイルを好む傾向があります。このような学習スタイルを継続すると、実践的なコミュニケーションスキルが向上し、流暢さが増すでしょう。
「英語を話せるようになりたい」と思っているのにもかかわらず、インプット型の学習に偏っている人は少なくありません。
自分の英語学習の目的を常に振り返りながら、目的に沿った学習を続けることが重要です。
インプットとアウトプット、バランスの良い学習を心掛けよう
――自分自身の学習の傾向を知ることにはどのような意義がありますか?
森:どちらのスタイルにもメリットがあり、自分の学習スタイルを理解し、自分に合った学習方法を見つけることが重要です。
インプット(読む、聞く)とアウトプット(話す、書く)の両方をバランス良く取り入れることで、総合的な英語力の向上が期待できます。
学習傾向を知ることには以下のような意義があります。
1. 学習のバランスを取る
インプットとアウトプットの両方をバランス良く取り入れることで、英語力を効果的に向上させることができます。一方に偏りすぎると、特定のスキルが不足する可能性があります。
2. 自分の強みや弱みを把握する
自分がどちらの学習方法を多く取り入れているかを知ることで、強みや弱みを把握し、必要なスキルを重点的に強化できます。例えば、リスニングは得意でもスピーキングが苦手な場合は、アウトプットの練習を増やすことが効果的です。
3. 学習方法の改善に役立つ
学習傾向を理解することで、自分に合った学習方法を見つけたり、効果的な学習計画を立てたりすることができます。例えば、会話の練習に対してインプット型の学習が多すぎる場合、アウトプットの練習を増やす必要があります。
4. モチベーションを維持する
自分の学習スタイルや傾向を知ることで、学習の進捗を実感しやすくなり、モチベーションを維持しやすくなります。目標設定や学習方法を調整することで、学習に対する興味や意欲を保ちやすくなります。
5. 実践的なスキルを身につける
インプット型の学習だけでなく、アウトプット型の学習を取り入れることで、実際の会話やライティングでのスキルを向上させることができます。言語は実際に使うことで習得が深まるため、アウトプットの機会を増やすことが重要です。
このように、自分の学習傾向を理解することで、より効果的な学習戦略を立てることができ、言語スキルの向上につながります。
受験勉強や中高での学習の影響からか、日本人の学習方法は、単語の暗記や文法問題、英文和訳に偏りがちです。この学習傾向を見直さない限り、話す力や書く力の向上を期待するのは難しいでしょう。
今回紹介した学習傾向を測る20の質問を、学習方法改善のきっかけとして活用してみてください。特に、英語を話せるようになりたい方は、ここで紹介したアウトプット型の学習方法をできるだけ多く取り入れ、話す力を向上させましょう。