男性は外で働き続け、女性が家庭を守るのが一般的な価値観とされていた時代には、それで良かったのかもしれない。しかし、今はかなり様相が異なっている。

「男女共同参画白書令和2年版」(2020)は、OECD(経済協力開発機構)が2020年にまとめたデータを紹介している。各国における有償労働時間の男女比(女性を1とした際の男性の倍率)を見ると、日本は1.7倍で最も男女比が大きいと指摘する。2014年よりも女性の有償労働時間が増えたために、男女とも有償労働時間が長く、とりわけ男性の有償労働時間が長いと強調している。

 ちなみに、「24時間戦えますか」のフレーズは、2010年代に世相を反映し「24時間戦うのはしんどい」、「3、4時間戦えますか」に変わったという。

 政治や経済をはじめ、文化、スポーツ、芸能などの各界で名を馳せた著名人が自らの半生を語る日本経済新聞朝刊の人気連載「私の履歴書」。毎朝楽しみにしている人も多いことだろう。月末の最終回でしばしば登場する文言が、一部のSNSで嘲笑の対象となっている。妻に対し「これまで、あまり子育てに関われず、さんざん迷惑をかけた。これからは罪滅ぼしの意味もあり、楽にさせてやりたい」などとする紋切り型だ。共働き家庭が半数以上を占める時代となって久しい。こうした文言も、少なくなっていくのだろうか。

週当たりの労働時間が短いほうが
男女を問わず幸福度が高い

 パーソル総合研究所が18カ国・地域の主要都市の人々を対象に、仕事に対する幸福感(はたらく幸せ実感)と不幸感(はたらく不幸せ実感)を探った調査がある。就業者が主観的にどのように感じているか尋ねたところ、日本で「幸せを感じている」と答えた就業者は半数以下の49.1%にとどまり、最下位だった。理由の1つとして挙げられたのが、労働時間が男性に偏りすぎており、男性の幸福感が低いという点だ。