通貨の番人と呼ばれる日本銀行。その金融政策は日本経済を大きく左右し、行員たちは国内有数のエリート集団である。もちろん財界に深く食い込んでおり、社外取締役になっているOB・OGは63人もいる。特集『役所&日銀出身の社外取締役「報酬」ランキング』(全16回)の#3では、日銀出身者のランキングを作成。役員報酬額で日銀総裁経験者を抑え、3598万円で首位に立ったのはOG社外取だった。(ダイヤモンド編集部編集委員 清水理裕)
日銀の職員は国内有数のエリート集団!
OB・OG社外取の推計報酬額を一挙公開
3月のマイナス金利政策の解除に続き、7月末の金融政策決定会合で政策金利を0.25%引き上げた日本銀行。植田和男・日銀総裁がさらなる利上げに前向きな姿勢を見せたことから、7月中旬に1ドル=161円台を付けていた円は8月5日、141円台まで買われた。
急速な円高進行に米国の景気悪化懸念も相まって、日経平均株価は同日、過去最大の下げ幅(4451円安)を記録した――。
通貨の番人と呼ばれ、物価の安定を担う日銀。その金融政策は日本経済を大きく左右するため、注目度は非常に高い。
もっとも、日銀が関わっているのは金融政策だけではない。銀行間の決済サービスや国際金融規制への対応、発券業務など多岐にわたり、日本の金融システム全体を支えている。
こうした業務をこなす日銀職員の数は約4500人。その年収は霞が関のキャリア官僚を上回り、行員たちは自他共に認める国内有数のエリート集団である。
今回は、日銀を出身母体とする上場企業の社外取締役63人を取り上げる。国内外に拠点を持ち、金融機関をはじめとする民間企業と関わりが深い日銀は、国税庁(143人)や財務省(101人)、検事(87人)や経済産業省(75人)に次いで社外取の人数が多かった。
ダイヤモンド編集部は、日銀出身の社外取が受け取っている総報酬額を独自に試算。その結果、2000万円超えの社外取が10人もいることが分かった。報酬額ランキングで日銀総裁OBを抑え、3598万円で首位に立ったのは女性だった。
それでは早速、詳細を見ていこう。ランキングの中で、再就職先の「社名」や「兼務社数」「推計報酬額の合計」といった項目を見ていけば、社外取としての働きぶりが待遇に見合うものかどうかがチェック可能だ。ちなみに今回のランキングでは、日銀総裁を務めた福井俊彦氏(88)、白川方明氏(74)の報酬額も確認できる。
また、理事や監事、金融市場局長や京都支店長などといった「日銀時代の主なポスト」は報酬額と強い関係があり、必見の内容だ。