諸外国や国際機関と交渉し、外交を担っている外務省。上場企業の社外取締役に就いているOB・OGは全33人だった。特集『役所&日銀出身の社外取締役「報酬」ランキング』(全16回)の#7では、外務省出身者のランキングを公開する。国際情勢に通じていることが企業から評価され、役員総報酬額が4000万円を超えたのは3人。1位となった外務事務次官OBの金額は計4942万円に上った。(ダイヤモンド編集部編集委員 清水理裕)
国際情勢の緊迫で“市場価値”が高まる外務省出身者
OB・OG社外取の推計報酬額を一挙公開!
中国が軍事、経済で威圧的な行動を強めている。8月下旬には、中国軍の情報収集機1機が長崎・男女群島沖の領空を侵犯した。中国の軍用機による日本への領空侵犯は初めてである。
また同時期に、アステラス製薬社員の日本人男性が「スパイ罪」で起訴されたことも明らかになった。刑法に基づくスパイ罪の最高刑は死刑である。
日本を取り巻く脅威は、もちろん中国だけではない。力ずくで他国の領土を奪おうとするロシアのウクライナ侵略は今も続き、北朝鮮は核・ミサイル開発を加速させている。
冷戦後、日本は今ほど厳しい国際情勢に直面したことがなく、外交戦略の重要性は増すばかりだ。そして、その外交をつかさどっている官庁が外務省である。
今回は、外務省を出身母体とする上場企業の社外取締役を取り上げる。上場企業の社外取に就いている外務省OB・OGは全33人だった。
ダイヤモンド編集部は、外務省OB・OGの社外取が受け取っている総報酬額を独自に試算。国際情勢に通じていることが企業から評価され、役員総報酬額が2000万円を超えたのは3人。首位となった外務事務次官OBは4社を兼務し、総報酬額は4942万円に達した。
それでは次ページで、詳細を見ていこう。ランキングの中で、再就職先の「社名」や「兼務社数」「推計報酬額の合計」といった項目を見ていけば、社外取としての働きぶりが待遇に見合うものかどうかがチェック可能だ。
また、外務事務次官や大臣官房長、経済局長などの「役人時代の主なポスト」は報酬額と強い関係があり、必見の内容だ。