役所&日銀出身の社外取締役「報酬」ランキング#10Photo:Photolibrary

 2007年に「庁」から「省」へ格上げされた防衛省。実際の任務・活動を行う自衛隊出身者も含めて、上場企業の社外取締役に就いているOB・OGは全11人だった。特集『役所&日銀出身の社外取締役「報酬」ランキング』(全16回)の#10では、防衛省出身者のランキングをお届けする。1位となった防衛事務次官OBをはじめ、ランキングに入った社外取を推計報酬額と共に実名で公開する。(ダイヤモンド編集部編集委員 清水理裕)

相次ぐ不祥事で信頼が揺らぐ防衛省
OB・OG社外取の推計報酬額を一挙公開

 かつて「三流官庁」と見なされていた旧防衛庁。当時は現在の内閣府の外局扱いで、背広組のトップである防衛事務次官のポストも財務省出身者に占められるありさまだった。“財務省の植民地”とやゆする向きもあった。

 しかし、中国の軍拡や日米同盟の重要性の高まりもあり、2007年に「庁」から「省」へ昇格して防衛省となった。自律性は強まり、現在は重要官庁の一つに数えられるようになっている。

 ただ足元では相次いで発覚している不祥事によって、防衛省・自衛隊は信頼が根本から揺らぎかねない事態に陥っている。安全保障に関わる特定秘密のずさんな取り扱い、潜水手当の不正受給、食堂での不正飲食やパワーハラスメント……。7月には陸海空3自衛隊や内部部局の延べ220人が処分された。

 中でも海上自衛隊は深刻な状況だ。海自トップの酒井良海上幕僚長が引責辞任に追い込まれた。一連の処分とは別に、海自は潜水艦乗組員らへの川崎重工業からの金品提供問題もくすぶっている。裏金づくりは長きにわたって、組織ぐるみの慣行になっていた可能性も指摘されている――。

 今回は、国際情勢が緊迫化する中、重要性が増しているものの、ガバナンスの欠如が露呈している防衛省を取り上げる。同省・自衛隊を出身母体とする上場企業の社外取締役は11人だった。

 ダイヤモンド編集部は、防衛省OB・OGの社外取が受け取っている総報酬額を独自に試算。1位となった防衛事務次官OBをはじめ、ランキングに入った社外取を推計報酬額と共に実名で公開する。

 それでは次ページで、詳細を見ていこう。ランキングの中で、再就職先の「社名」や「兼務社数」「推計報酬額の合計」といった項目を見ていけば、社外取としての働きぶりが待遇に見合うものかどうかがチェック可能だ。

 また、防衛事務次官や陸上自衛隊研究本部長、海上自衛隊呉地方総監などの「役人時代の主なポスト」は報酬額と強い関係があり、必見の内容だ。